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マイスモールランドのWataのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.2
拭っても拭っても消えない、生まれ持った自分の色。🔴
なのに、自分がそうありたいと願う色は、どれだけ守ろうとしても手には残らない。

難民認定が降りず在留資格を取り消された在日クルド人。
当たり前の生活が崩れていく中で、クルドでも日本でもない、自分の居場所を探し続ける。


移民や難民の社会問題としてだけではなくて、将来に悩んだり、親に反発したり、恋愛したり、一人の少女物語としてもとても良かったです…!



"仮放免"
特例として日本にいてもいいけれど、働くのも許されず、県境を超えるのも許されず、保険証もない。
少しでも規定に反すれば入管に収容され、一度収容されるとそこから出ることも叶わない。

入管法ってこんな制度なのですね…
全然知らなかった。

日本人って自分のルーツやアイデンティティ、宗教に無頓着なのに、異国人は異国人として無意識に線引をして区別する、ちょっと歪な矛盾を抱えている気がします。

もちろん良くも悪くもこの制度があることで今の日本が成り立っているし、誰彼構わず入国させていいとは思わないけれど、少なくとも、子供が自分自身のことだけを考えて心穏やかに過ごせる国であってほしい、と思う。


ルーツをあんなにも大切にしていた父からの、"自分らしく生きてくれ。"という言葉が切なくて悔しくてやりきれない。

ルーツやアイデンティティって"探すもの"って印象があるけれど、あるものから選ばなくたって、自分で作って決めたっていい。

今私のいる場所こそが私の居場所。


最後のサーリャの眼差しに、彼女達の未来に、光がありますように。


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レビュー溜めすぎてお久しぶりの投稿になってしまいましたが、レビュー300本目!
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