バンバンビガロ

マイスモールランドのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.0
オンラインで開催された難民映画祭2022という企画で視聴。チケットを購入すると6作品が見られオプションで難民への寄付もできるという仕組みになっている。

本作は日本で育ったクルド人少女が直面する現実と苦悩を描いた作品で見ていて気分が重くなりいたたまれないような気持になる。そのような居心地の悪さを感じるのはこの映画で描かれるのが極めて普通の人々であったからだろうと思う。この映画に出てくる人々、主人公の友人、学校の先生、バイト先の店長、アパートの大家などはみな普通の人々、なんなら”善良な”といってもいいような市民たちである。一部を除き特別に差別的なわけでもなく主人公に普通に接し時に気遣ってくれたりもする。そんな善良な人々の中で主人公は手を差し伸べられることなく社会と制度によって救いがたく追い詰められていく。その姿は観客にまるで自分たちが何かを見殺しにしているような罪悪感を与える。
実際問題我々は常に何かを見殺しにし続けているし、難民のことでも何でもよく知らないし知ってても何もできないと感じている。だからこの映画でバイトをクビにした後、主人公に少し多く入った給料袋とお弁当を無理やり手渡すことで罪悪感を和らげようとするコンビニの店長にリアルを感じるし、この映画の内容をフィクションとして切り離して考えることができないのだと感じる。
現実の問題がそうであるように主人公の境遇は最後まで改善されず将来への展望も開けないまま映画は終わる。決して楽しい映画ではないし良い映画といっていいのかもわからないが重要なことを伝えようとしている映画だと思う。
バンバンビガロ

バンバンビガロ