ちろる

ヒューマニティ通り8番地のちろるのレビュー・感想・評価

ヒューマニティ通り8番地(2021年製作の映画)
3.7
コロナ禍で外出禁止を余儀なくされたフランスを舞台に、ばらばらの立場の人たちが織りなす群像劇。
普段おおらかなイメージのフランス人も、やはりコロナ禍の隔離生活という緊急事態に置かれるとそれぞれのカタチで神経質になってしまうのだなぁとしみじみ。

世界では『分断』が目立つこのコロナ禍の悪き遺産ですが、このヒューマニティ通りのみんなは、このコロナ禍がなければ互いのことを知らずにいたわけで、ちょっと皮肉。

初めのうちは、互いの生活状況に神経質になって、ご近所同士の関係最悪なわけですが、互いに自分の思いを吐露しながら分かりあっていくうちに、「運命共同体」みたいになる登場人物たち。

フランスのコメディだからなのか、本当にクセ強GPバリの普通じゃない人たちの喧嘩を見せられるわけで、こちらはキョトンといった状況なのはいうまでもなく、コロナ禍の隔離生活というリアリティを題材にしてるのに、SFみたいな感覚で観てしまってる自分がいました。

素っ頓狂なひとたちのあーだこーだを観ていられるかどうかがこの作品を楽しめるかどうかの肝になりますが・・・・
ラストまで観れば、最初のドタバタ劇とは少し変わりヒューマンドラマとしての色合いが強くなってきて、しみじみとした気持ちにさせられる本作。
喜怒哀楽に満ちた激しいフランス人の気性を楽しみながら、現実でも日本の感染者がこのまま落ち着いていくことを願うばかりです。
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