怖い。
下手なホラー映画よりも怖い。
文直のやるせなさや、どうしようもないあの空気感が怖い。
気を許せば、闇に引き込まれそうで。
自分にはどうすることもできないものをずっと見せつけられてるあの時間を、二度と味わいたくないと思ってしまった。
トラウマにも近い感覚。
暗闇でしか描けないものがあるんだな、と思った。
エンドロールに添えられたパンケーキの歌にすら、痛みを覚える。
いつも青木柚さんの“そこにいる”空気感には感心しているし、もはやそれを味わうために彼の出演作を観ているまであるけれど、今作ではなぎさ役の山崎七海さんのあまりにも自然すぎる存在感に驚かされた。
見てはいけないものを見ているような気持ちにさせられるほどの生々しさがあるし、同時にそこには危うさが伴う。
色んな意味で配慮の必要な、繊細な作品だ。
