ロールシャッハ

オッペンハイマーのロールシャッハのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
24.3.29 グランドシネマサンシャイン池袋←New!

「プロメテウスは神々から火を盗み、それを人間に与えた。そのために彼は岩に鎖でつながれ、永遠に拷問された。」

アベンジャーズのように、ノーベル賞受賞者が鬼のように出てくる集結映画だったし、ジブリ映画の「風立ちぬ」を感じた。

物語の流れとしては・・・
①fission(核分裂・原爆):1954年の聴聞会
②fusion(核融合・水爆):1959年の公聴会とAEC
③オッペンハイマーの半生(ケンブリッジ時代からフェルミ賞受賞まで)
カラーは主観(オッペンハイマー視点)、モノクロは客観(ストロース視点)。
①と②が対比構造で進みつつ、③のそれぞれに移る感じ。

後半は、矛盾を抱えた人間臭さと、赤狩りという茶番を見せ付けられた。
戦争を終わらせる為に躍進した天才の最後がこれでいいのかと思うぐらい。

ロバート・ダウニー・Jrが良かったが、トリニティ実験が印象に残った。どう撮影したのか気になった。

パンドラの箱を開けてしまったと直感した彼は息を呑み、現場で見ていた関係者は歓喜の声上げる者、目を伏せる者、様々な反応があった。それぞれ何を感じたのだろうか…

彼の幻覚は顕著で拍手喝采の最中に、焼けただれた女性や黒焦げの人を踏む足、死の灰、そして人が居なくなり、悲鳴、泣き叫ぶカップル、吐いてる人、被爆者を実際に見ているようだった。

「どんな俗悪やユーモア、あらゆる誇張表現でも消し去ることが出来ない、物理学者として決して失われることのない本質的な意味で"罪"を知ってしまった」と語っていた。

雨が水面に落ちるを見つめながら、「我々は破壊した」とアイシュタインに呟いて、世界の終末を感じて終わるのもクリストファーノーラン節が効いてて良かった。

核も人間も連鎖反応のように広がる。更なる核戦争の時代へ。そして、栄光と嫉妬。
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