ソラアユム

オッペンハイマーのソラアユムのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
題名:オッペンハイマー
鑑賞日時:2024年3月30日
鑑賞方式:ユナイテッドシネマ浦和 IMAX2D
評価:4.2(MAX5.0)

『我々は世界を破壊した。』


□2024年55本目(劇場鑑賞13本目)

□原爆の父の栄光と没落を描くドラマ作品

野心と知的好奇心を持つ有望な科学者が、やがて原爆という人類史上最悪の兵器を生みだすところまで突き進んでいく。しかし、その過程は意外や意外にも淡々とした語り口なのだ。大胆な時系列シャッフルは受け手に混乱を呼びつつも、後に多くの命を奪う破壊兵器をこの世界に誕生させた張本人に対して無理なく共感していける構造になっている。

何者でもなく、大学の教授に邪見に扱われる学生時代の日々。しかし彼の脳内では原子の中に在る小宇宙の可能性がスパークする。彼が紛れもなく量子物理学の天才であることを手際よく描写し、彼の理論と知識量に裏打ちされた想像(創造)力が成すセカイを見せてくれる。

正直なところ、科学的な部分というよりも、各登場人物の相関関係、各機関の機能と立ち位置や社会的背景やイデオロギーの側面の部分で理解が追い付かず、かなり脳が疲れる作品ではあった。

とはいえ、映像や音響といった映画的な演出の部分は圧巻の一言でやはりノーラン作品は劇場に限るという周知の事実を改めて実感する映像体験だった。

□まとめ
核分裂連鎖反応のように世界が核兵器開発に向かっていく未来を憂う主人公の表情が印象的だった。


以上