「原爆の父」と呼ばれる物理学者、原爆開発者オッペンハイマーの伝記……というよりも、原爆誕生物語。
日本での公開についてあれこれ話題になっていたが、特に終盤は人間物語であり、反戦や反原爆のための作品だとは私には受け取れなかったし、そうなるべき作品だから不足だとも思えなかった。
ただ彼は当時の多くの学者がそうしたように「国のため」という名目のもとに自分の研究を一生懸命遂行しただけ。
そして、その警戒心のなさと不器用さから、陥れられただけ……。
偉大な芸術や研究には必ず名声を妬んで名が残ることを阻む勢力が現れる。
「あの時、彼は何を言ったのか」
その一点のみがこの作品のミステリーであり、人の心の黒い暗い部分の醜さに泣く。
ちょっと『アマデウス』のサリエリを思い出した。
(鑑賞 4月1日)←感想入れるのを忘れていた