Tanaka

オッペンハイマーのTanakaのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

フォン・ノイマンは「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない。」と語っている。
オッペンハイマーはフォン・ノイマンほど天才ではなかったし、皆から尊敬されていたわけでもない。

原爆をこの世に持ち込み盲信的な賞賛も受けるが、その後罪悪感とそこからの言動によって罰せられる。
オッペンハイマーはまさに劇中で言う通りのアメリカンプロメテウスという表現が腑に落ちる。
(プロメテウスは映画冒頭に出てくる天界から火を盗んで人間に与えた神。人間はその火を使って武器を作り戦争を始めた。その後プロメテウスは3万年もの間拷問を受ける。)



オッペンハイマーの罪は間接的に膨大な死者数を出したことではない。
まだ原爆がどう爆発するのかわからない段階で、もしかしたら核の連鎖反応が止まらず、地球上の全生命体が滅びる可能性があることをわかっていながらその一線を超えたこと。



ラストシーンでも連鎖反応の懸念についてアインシュタインと話しており、既に人類は滅亡させたと語るオッペンハイマー。
トリニティ実験ではそんなことは起こらなかったものの、その後核開発競争が始まり世界を変えてしまったことを痛感する。

この描写の興奮はとんでもないものがある。原爆を開発していた科学者たちも未来へ恐怖と興奮を抱いていたのだろう、少なくともオッペンハイマーは。
Tanaka

Tanaka