CROMA

オッペンハイマーのCROMAのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

核爆弾を作った一人の人間、オッペンハイマーの物語。
それ以上でも以下でもない。
オッペンハイマーという、世界を壊してしまった一人の人間と、それを取り巻いていた人々や世界を見た後、あなたが感じたものが全てだ。


マンハッタン計画は、国の上層部はともかく、関わった人々・家族等は祖国を守り、ドイツや戦争を止めたいという強い善意によって動いていたと思う。
ただ、原爆が完成した時、人々の善意から生まれた物がとんでもない力をもった爆弾である事、それを生み出してしまった事実を、オッペンハイマーは爆発を肌で感じる事でようやく実感として感じたのだと思う。どれだけ優秀な科学者であっても、計算と現実は違ったのではないか。
そして多くの人々を殺した兵器を生み出し、葛藤する彼をただただ賞賛する人々に対して彼が感じていた感情は、あの素晴らしい演出に全て込められていたと思う。
このあたりのシーンは、あまりのやるせなさに涙が出た。


今回のノーラン映画は比較的ウケが悪いのではないかと思う。いつも通りとはいえ、尺が長く、派手な演出も少ない。
ただ、私は歴史的事実として、その時の出来事に思いを馳せる事ができた事に感謝したい。
CROMA

CROMA