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オッペンハイマーのまるのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
3時間あったのね、これがアカデミー賞最多受賞作品か…情緒をかき乱される複雑な映画

この映画のあとには平和記念公園と原爆資料館に行ってほしい
【安らかに眠ってください、過ちは繰り返しませぬから】
刻まれたこの言葉がもつ重さを改めて感じたい


投下実験が成功したあとの研究者の歓喜の場面、日本に投下されて自分たちの研究が成功したと湧く場面のそれぞれで、涙が止まらなかった

研究を可能性を理を、突き詰める化学者だけが悪いわけではないのだけど、一瞬でも結果の裏で起こる全ての事を見ぬふりをされたわけで。悔しいのか哀しいのか腹立たしいのか、、過去の話を映画にしただけなのに

もっと軽い気持ちで観られると思っていて、こんなにも複雑な感情が湧くとは自分でも驚いた
原爆が完成に近づくにつれ、お願いだから止めてくれってずっと願ってた。映画なのにね。



原爆の父であるオッペンハイマーその人の事はよく知らない。アインシュタインが生涯原爆を後悔したことを知ってるくらいで、映画を語るには自分の不勉強がすぎた
当時の世界情勢とか各国の立ち位置とか米国の動きをもう少し勉強してたらもっとついていけてたと思う

ただ、いつだって偉大なことを成した人間は政治に巻き込まれる運命にあるのだと
年老いて耄碌したと囁かれるくらいが確かに身を守る唯一の手段なのかも、アインシュタインみたいに




細かいけれどオッペンハイマーの奥さんが言った、そんな奴と握手したの?私ならつばを吐いてやったのに!を有言実行しようとしてたことが作中唯一ニヤッと出来た癒やしだった

300年の量子力学の行き着く先がコレだなんて信じたくない、との言葉にもグッと来た
理論上可能だとしても兵器を世に生み出すことは違うと思ってくれて感謝、でもそれが許されないのが戦争なんだな


小さい頃に見た記憶の原爆資料はもっと苛烈で生々しくて確かに人の気配を感じるモノだったけれど、最近のは痛み・劣化が激しいと思う
まだ訪れていない人は早く行ってほしいな

戦争断固反対の決意と、ウクライナ、ガザの人々の安寧を祈ります
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