はやと

オッペンハイマーのはやとのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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安易なエンタメに流れがちな人類に対して、クリストファー・ノーランの信頼が厚すぎる。

前評判からして「これを見るなら予習くらいは当たり前にやってくるよな?」という圧を感じたので、最低限登場人物は確認しておいたけど大正解。

一言でサラッと紹介されてくので事前に知っておかないとほぼほぼ置いてかれると思う。

トリニティ実験での喜びを日本人として共有することはできなくて、他の映画ならそこに感動するはずなのに、窓の向こうの存在としか感じられず妙な浮遊感に包まれた。

あるいは疎外感と言い換えてもいいかもしれない。

ただあの光の煌めきはある種の神話的な美しさもあって、プロメテウスの炎という表現はこれ以上にないくらい合っていた。

存在そのものに罪はないはずだけれど、それによって影響を受ける人の数は限りなくて、兵器と同様に思想の違いと個人の欲もまた世界を滅ぼしうる危険を孕んでるなあと。
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