きゅうりのきゅーたろう

オッペンハイマーのきゅうりのきゅーたろうのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦下、アメリカの原子爆弾開発プロジェクト、マンハッタン計画に参加し原子爆弾を作り上げた科学者・オッペンハイマー。戦争が激化し日本へ原子爆弾が投下された惨状を知ったオッペンハイマーは自らが生み出したものがもたらした光景に罪の意識を覚える。また、赤狩りの時代、その矛先は彼にも向けられ…というお話。


伝記映画ってエンタメ性が高いのになんでアカデミー賞獲ったんやろと気になり続けて1ヶ月、ようやく見られました。
1ヶ月過ぎててもほぼ満席でびっくりしました。

上の疑問に関しては、本作は原爆を開発した人の半生を描くというあらすじがフックすぎるんですが、実際のところ、赤狩りの方が重点が置かれてんのじゃないかと思いました。
赤狩りの時代、ある種の密告社会となったアメリカ(その隣人が実は…といった恐怖が人の皮を被ったバケモノの映画に繋がっていたりもする)を直視するためのスタートの映画だと思います。
それもイギリス出身のノーランの外からの目だからこそ撮れたという背景も込みで。
そしてこの作品がアカデミー賞を獲ったこと自体がアメリカ映画のこれからの転換を予感させるのです。

まあ原爆関連については映像がすごかったですね、マジで「あ、パンドラの箱が開けてしまった」ってのが実感を持って感じられた。
日本人にとしてこのシーン要るか?って怒りを覚えながらも良くできた作品でノーランのうまさを堪能しました。