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オッペンハイマーのTのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
暗い水たまりに雨が降りしきる。男はそれを虚な目で見つめている。

人並外れた才能を持ち、祖国に貢献しようと奮闘した男の物語。
彼は依頼された仕事を成功させたが、その後周りの歓声は彼に届かず自分の呼吸だけが聞こえる。強烈なコントラストを生み出していた彼を照らす強い強い光は、尋問とも呼べる眼差しを彼に向け続けていた。

ルドウィグゴランソンが手がけた音楽が素晴らしかった。オッペンハイマーの葛藤が表現されていて、鳴り止まない自責の念はヴァイオリンの弦を擦り、宇宙に響き渡る。

以前映像の世紀を見ていた時にオッペンハイマー本人が語っていた言葉が、この作品を通して描かれていたように思ったのでここに記しておく。

“私は後悔はしていない。ただしこれは、申し訳ないことをしたと思っていない、ということではない。”
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