切り取られる山林の樹木や川のせせらぎが本当に美しくてため息がでる。南アルプスを捉える空撮も素晴らしくて瀬川順一の世界に抵抗不能になってしまう。その自然の中で人間達は、ワイズマン的な文明的コミュニティとして存在しているのではなく、森と同化した純に戯れる存在として伊勢長之助は徹底して描きだしてるように見え、登山客に安全のため帯同しているはずの職員が職務そっちのけで花や昆虫の採集をしている画面繋ぎに大いに笑った。樹木を切り倒したり途中挿入される江戸時代から続いていたとされる丸太を江戸に運ぶためそれを河にながしているフッテージに多少ながらの歴史性や経済性地域批評性の匂いがするも、画面としては純な運動がコンテクストとして編集されていて、ラスト文明によって舗装された山道を車による移動撮影で捉えるもその切り返しとして美しい河が用意されることにある種の美的な物質量の多さをいたく感じる。が、どこか分断の気配がある気もする。

本当にすばらしい。
時に穏やかに、時に激しく流れる河川を、時に風に揺らぎ、時に静かに佇んでいる樹木を、すなわち豊かという語彙にはおさまりのつかぬ自然を、単なるオブジェではなく、今、そこで呼吸する生命として捉えることに最も成功したのは、瀬川順一ではないか。
伊勢長之助は病院のベッドで編集したという逸話が残されているが、その切れ味は遺作となったこの作品においてもいささかも衰えておらず、震えがくるほどすばらしい。

監督の欄に記載さるべきは、構成を担当した伊勢長之助と思うが、なぜご子息の名前になっているのか。

画が綺麗すぎる
社会の時間に見るビデオすぎてあの頃思い出してちょっと寝た