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消えない罪のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

消えない罪(2021年製作の映画)
4.1
統一された曇り空的な空気感と、音楽が派手に盛り上げない点が良かった。
過去、他作品では一度もサンドラ姉さんを何故だか好ましく感じた事が無かった。彼女出演でレビューしてない作品も幾つかある。だが、本作では静かに皇族風に5発位は拍手したい。

彼女のノーメイクらしき(まつ毛は工夫有り)捨て身演技とキレ処や一途さ故の衝動。
ソレは、人生を諦めた父親の死後に歳の離れた妹の母親代わりで学校にも行けなかった暮らしの果ての"事件そのもの"というより"享受せざるを得なかった時間"で培われた孤独を表していた。

対して、被害者家族(兄弟)側などは画面化されていない其の時間についてのツメが希薄で残念。この様な話に於いてはどうしても人間関係の対比上、ご都合脚本は少なからずありがちだけど。

プロット毎を繋いだ線が絡み合ってゆき、目に映る画面上での事象ではなく、映らない部分…内面のウネリや渦巻きの末の行いとして魅せてくれるかvsくれないか…
映画やドラマの作品に勝手に感じるリアリティとはそれで決まってくると思う。



本作の原題を知りつつ。
テーマに対して"救われるか救われないか"や、観ていてコチラから求めるものは持たずに観たつもり。
だからか、以前に高村薫の短編を読んだ際に感じた何かを思い出したりした。
その"何か"を無理くりコトバにしたらば、結局はワタシ自身の"好ましさ"なのかも知れない。

一緒に観た厳しいカミさんも"安易なトコもあったけど、コレは良かったにゃあ…"と言い、"妹がホールで弾いていたメロディはもろにレディオヘッドじゃない?"とも…

此奴、やはり同じトコ気付いてたんだニャ。
あの変拍子と音階はまさしくじゃ!
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