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シラノのSPNminacoのレビュー・感想・評価

シラノ(2021年製作の映画)
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大きな鼻を小さな身体に置き換えたシラノ。詩人というか、とにかく弁が立つのは今のラッパーみたいで、おまけに腕も立つ。でも大胆不敵な立ち回りをキメる反面、恋には弱々しく思い悩む…と、ピーター・ディンクレイジのシラノはニヒルでハードボイルドな魅力。文語調の台詞回しがとても巧いし、歌っても渋い味わいだ。
恋敵演じるケルヴィン・ハリソンJr.もカッコいい。口下手だけどピュアで気が良くて、歌声では一番聴かせる。ヘイリー・ベネットのロクサーヌは高嶺の花というより若々しく感情豊かで現代的。ベン・メンデルソーンがヘアメイクで誰かわかんなかったよ!
そんなキャストの演技と美しい衣装やプロダクションデザインで魅せるものの、抑圧された愛の行方はメロドラマチックだがいささか平坦。ジョー・ライト監督はThe Stone Rosesのライヴにインスピレイションを得たそうで、そのせいか歌がコーラスでなくユニゾン(戦場のナンバーなんか確かにローゼズっぽかった)。ラストのデュエットだけハモるのは巧い演出。でも楽曲よりアンサンブルの群舞、バックダンサーと振り付けが良かった。見せ場少ないけど…
元のミュージカル舞台はディンクレイジの妻エリカ・シュミット作、ヘイリー・ベネットはジョー・ライトのパートナーなので、どちらも愛の当て書きみたいだな。
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