はる

イニシェリン島の精霊のはるのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.5
俺ァ…バカだからよ…よく分からねえ…。そんな気持ちになりながら観ました。「スリー・ビルボード」もあんまり好きじゃなかったんですが、この映画は「スリー・ビルボード」と同じ出汁で作られた映画だな…というのはめちゃくちゃに感じました。

コルムはパードリックを馬鹿にするけれど、そんなコルムもシボーンからするとさほどでもないわけで、この知性のヒエラルキーとそのヒエラルキーを自覚している人たちの態度のリアルさよ…と思ったりしました。

永遠に語り継がれたい、という承認欲求の話が出てくると「でも俺はそんな偉人のことは知らん、俺が知っているのは身近にいる人だけだ」というのがカウンターとして出てきますが(「セッション」でも出てきた)、ここらへんはもう永遠のテーマなんだろうなと思いました。そしてそのパードリックの言い分を「今までで一番面白かった」というコルム。
コルムのおかげで優しさを捨てたパードリックは、他の島の人たちと同じところへ墜ちた感があってちょっと悲しくなった。

ファンタビでコリン・ファレルを知った人間なのでコリン・ファレルはセクシーの化身だと思ってる節があったのですが、この映画を観て「あのセクシーってOFFにしたりできるんや!?」と思いました。そこらへんのオッサン感すごい出てた。すごいぜ。
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