コミナミ

イニシェリン島の精霊のコミナミのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.4
「昨日まで仲良かった友人が急に口を利かなくなっちゃった」
ただそれだけの話なんだけど、とにかく重厚感が凄い。そして、揺さぶられました!

2人の中年おじさんの喧嘩はかなりしょうもない。
良い歳して何やってんだよ!って感じですが、そこには、善意と悪意、醜さや悲哀など人間の様々な側面が描かれていて、共感できる部分も少なくなかったなぁ…

孤島という狭いコミュニティゆえの陰湿さもあって、絶対こんな島住みたくねぇと何度も思いました!
壮大な自然が劇中何度も登場するのに、これほど魅力的に感じない作品もなかなか無いですよ。寒々しく、残酷に映りました。

というか、そんな壮大な自然と比べておじさんたちはなんて小ちゃいことで喧嘩してんだと。
海の向こうの本土で起こる内戦の描写も重なり、喧嘩のスケールのしょぼさが余計に際立つ感じも面白かったです(ある意味、この喧嘩も内戦のメタファーであるんだろうけど)。

一方的に仲違いされたおじさんは、何故そこまで1つの友情と自分たちが住む島に異様なほど執着するのか。もしくは、執着しなければならないのか…

不穏な感じがじわじわと大きくなり、次第に心を掴んで離さなくなりました!とんでもなく地味だけど、その分色々な感情が押し寄せる作品!オススメ!
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