Kaji

イニシェリン島の精霊のKajiのネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

スリービルボードの時も同じく「きつねに摘まれた」ラスト。
シンプルなシチュエーションでエスカレートしていく出来事が暗喩のようで明喩ようで捉え所がないように見えるが、登場人物たちには生きている現実だと思わせる力があった。
洗練されたドラマ展開は文句なしで、あの意地悪にも思える一定のリズム。


内戦の遠景やどこまでも雄大で退屈な自然とお互い知りすぎて無神経な人間関係。

そりゃしんどいよ、と2人ともに共感できるから不思議だった。


バリーコーガンが好きなのですが、今作ではシェイクスピアのパックのような浮遊感とフール演技が良かった。
彼の中で愛を断られることが何を決意させたのか、またなんでもない事故だったのかわからないあたりに監督の個性を感じます。

他人が人の死に意味づけしても、生を型にはめようとしても、それはどちらも軽薄な言い訳だと突きつけられているようで含意の多い映画だったと思います
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