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BLUE GIANTのnamのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.2
「音楽の熱狂が伝わる!超王道の青春群像劇!」

原作未読。
音楽映画なのでいい音響の劇場で観たくてDolby Atmosにて鑑賞。これら正解でした。

音を聞くことができない漫画で人気の高さや面白さは聞いていたので、音がつく事でより作品の良さがアップするか、読者の想像に委ねられていた部分に余計な演出がマイナスになるかの賭けの部分はあったと思いますが本作は前者であり、レビューの高評価を見ても成功と言えるのではないかと思います。

18歳で世界一のジャズプレイヤーになるのを夢見て上京してきた宮本大が仲間達とその夢への一歩を駆け上がっていく超王道なサクセスストーリーであり青春群像劇でもあり、そこに素晴らしい音楽演出が加わり最高でした。

特に終盤になるにつれ熱が上がっていく演奏シーンでは自然に涙溢れる素晴らしさ。サックスを覚えた努力の天才である主人公宮本と幼少期からピアノを習ってきたエリートの沢辺、そして初心者のドラマーというそれぞれの視点での努力や苦悩、葛藤をバランスよく描けてて見やすい。


音楽やストーリーが素晴らしいのですがたま唯一欠点が演奏シーンになるとそれまでのセルアニメからCGのモーションキャプチャーのアニメになるのですがその表現の落差がなかなか辛かった。

近年はCGアニメでも「THE FIRST SLUM DUNK」や「ドラゴンボール超スーパーヒーロー」のようなクオリティの高いアニメが生まれていただけに残念。
CGアニメからさらに2Dの手書き感を加えた「スパイダーバース」という例もあり、これらは非常に手間もかかるし、スタッフも負担なのは知ってので安易には言えませんが、やはり安っぽさは気になってしまいました。。

CGの質感や動きは時間をかけるほど良くなるものなのでそういう意味ではちょっと詰めが甘いと言わざるをえないのが残念。

ただ演奏シーン、特に終盤は抽象的なイメージカットや絵の雰囲気を変えたり、編集も素晴らしく、音楽をより際立たせる演出が最高でした。

また声優として俳優の山田裕貴さん、間宮祥太朗さん、岡山天音さんの演技はキャラにもマッチしていて、違和感なく素晴らしい演技でした。

マイナスポイントを踏まえても音楽映画や青春群像劇として十分に傑作なのでぜひ劇場で観て頂きたいクオリティでした。
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