イワシ

乱れ雲のイワシのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
4.4
通常のメロドラマでは省略されるであろう遺族年金を貰う時の事細かい計算式と制度の説明に驚く。収入の減少が人間関係と生活空間の変化(移動)を否応なく促進するなかで、加山雄三の清潔感のある誠実さに観ている側まで救われる。しかし、加山とはまったく対照的な加東大介の存在感!

裁判で無罪になった加山雄三が個人的な責任感から司葉子に慰謝料を払うというのだが、その際給料明細を見せてそれをもとに月々の支払い額を決めようとするあたりも徹底して金銭のやり取りからメロドラマを発生させようとしている。

ファンなので加東大介の登場にテンションがぶち上がってしまった。熱を出して寝込む加山雄三と司葉子のプラトニックな手の触れ合いとは正反対の、受話器を握る森光子の空いた方の手に指を絡ませる際のあまりにも加東大介的な手つきに惚れ惚れする。
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