SUN

MIRRORLIAR FILMS Season2のSUNのレビュー・感想・評価

MIRRORLIAR FILMS Season2(2022年製作の映画)
3.5
オンライン試写会にて。
ありがとうございます!!!
初の短編映画鑑賞。

『point』
年齢も国籍も違う2人の男。言葉が通じているのかも分からないけれど、両者とも過去の似た経験から悲しみや後悔を抱いているからこそ、心を通わせる事ができる。言語の壁も超越した心の繋がりを感じました。

『The Little Star』 山田孝之監督作品
山田孝之さん、松本まりかさん出演。
お2人のどこか狂気じみた演技に一瞬で引き込まれる。山田孝之さんの疾走感のあるアクションシーンも見どころです。

『Denture Adventure』
どんなストーリーか全く分からないまま、ただコミカルなBGMと共に進んでいく物語。しかし1つの変化をきっかけに活き活きしていく主人公。最後の結末はシンプルだけど、とても幸せな気持ちになりました。

『煌々 go on a picnic』
母と息子の小旅行。理解できない行動をする母親に不満を持つ息子とその冷たい対応に怒る母親。
苦い関係ではありながらもやっぱり親子。最後にお互いの感情、親への愛、子どもへの愛が溢れるシーンが印象的です。

『愛を、撒き散らせ』志尊淳監督作品
板谷由夏さん出演。
心の相談センターで働く板谷さん演じる女性の元にかかってくる一本の電話。自暴自棄になって「死にたい」と言う電話の向こう側にいる男性と「生きて」と声をかける女性の物語。「死にたい」という思いと「生きたい」という思いを抱える人の間には境界があり、互いを理解し得ることはできないのではないかと葛藤してしまいます。「死にたい」という思いは分かりきれないかもしれない。それでも「声をあげてくれてありがとう、助けを求めてくれてありがとう」とその伝えてくれた事に愛を注ぐ事が大切なのではないかと考えさせられます。この作品から伝わるメッセージはこれからも考え続けなければならないと強く思いました。

『King&Queen』
いや、なんで?と思えてしまうような母と娘の会話。それでもその会話の口調やゾンビの登場にコメディっぽさを感じます。とても気楽に観る事ができました。

『巫.KANNAGI』柴咲コウ監督作品
幸せであるはずだった家庭。
夫を亡くしたシングルマザーの母と娘に現れる貧困という壁。そこに訪れる謎の女の問いかけに「死」についての向き合い方を考えさせられる。何も悪くない、誰も悪くないのにどんどんと生活が追い詰められていく様子が辛く、苦しかったです。誰か気づく事はできなかったのか、周りの人には何ができるのか、貧困、そして孤立という問題に対して直面する課題であると改めて感じます。
そして柴咲コウさんのたたずまいや声の美しさは唯一無二だと改めて感じます。

『適度なふたり』
お互いがお互いに合わせようとする。ただ相手の事を思いやって。お互いにある短所も笑い合って認め合いながらちょうどいい適温で過ごしていく2人の様子が見ていてとてもほっこり、あたたかくなりました。

『インペリアル 大阪堂島出入橋』
佐藤浩市さん出演。
店を畳んだ店主のこれまでの軌跡の物語。
佐藤浩市さんが町を駆けながら自らの人生を振り返るかのように紡ぐ一つ一つの言葉に味を感じました。


全く雰囲気が違うユニークな9作品。
一つ一つに魅力があって、好みはあるけれど2時間で色んな感情になれたし、色んな見方を持つことができました。
「死」をテーマにしている作品が多いため全体的に重めな印象が強いですが、その中でも『Denture Adventure』や『King&Queen』『適度なふたり』といったほっこりとした作品も入っているので抑揚があり見やすかったです。

個人的には『愛を、撒き散らせ』は最も印象強かったです。志尊淳さんが描く世界観とは、この作品から伝えるメッセージとは、さらに知りたくなってしまいました。



【2022年 鑑賞15本目】
SUN

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