矢吹健を称える会

ブラック・フォンの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.5
 堪能いたしました。昭和日本であれば婦女子から熱狂的人気を博したであろうメイソン・テムズくんの美貌が素晴らしい。そして年齢不相応な落ち着きよう。一秒後に殺されても何ら不思議じゃない状況にあっても冷静さを失わないその性格は、誘拐以前ですでに細かく描写されている。丁寧でいいなあと思う。
 あとヴァイオレンス描写がことさら必然性もないのに残虐性強めなのも好印象。主人公が乱暴者にいじめられていると、より乱暴な主人公の妹が現れて、デカめの石でバカーンと乱暴者の頭を叩き割る! するとそのガキが、良くて後遺症悪けりゃ絶命レベルで流血しはじめるので、おいおい、傷害罪だろと。どうなるんだ、と思って見ていたら、特にその件は問題視されないという……70年代アメリカだからね、仕方ないね。

 ただ、幽閉されてからは画面が単調にならざるをえず(とはいえ、窓・ベッド・電話を収めたショットは好き)、それを誤魔化すために死体ドーン!みたいなショック演出もやっているのだが、「死者と電話で交流する」という設定の面白みを却って削いでいる気がする。
 唯一、死者の過去を辿る夢のなかに、マデリーン・マックグロウが直接登場するという件は驚きがあって良かった。マデリーン・マックグロウのこぐガキチャリもたまらない。