このレビューはネタバレを含みます
誘拐された少年が閉じ込められた地下室には壊れて配線が繋がっていない電話。そこへ死者からのメッセージがかかってくる!というホラー映画で、パッケージに不気味なマスクをつけたイーサン・ホークがデカデカと描かれているんですが、ホラー要素は低め。
どちらかというと、少年の成長物語といった感じでした。
なので、わーわーキャーキャー騒ぎたい人には圧倒的にお勧めできません。
スタンド・バイ・ミーとか好きな人は好きかも。
てっきりイーサン・ホーク演じる少年誘拐犯であるグラバーは、悪魔崇拝的な何かでマスクつけてて、そこからホラーに繋がるかと思ったら、全くそんなことはなく、かといってITみたいなピエロのような悪魔でもなく、ただのピエロっぽい格好をした異常者でした。
グラバーの何がスゴいって、マジで見境ない。
普通、こういう誘拐犯って弱そうな子とか女の子を狙いそうなもんですが、攫われてる子は街の不良だったりスポーツ少年だったり血気盛んなファイターだったりと、どっちかというと体格的・体力的に恵まれている子達ばかり。
そして、その殺害方法も「地下室からわざと逃したところをベルトで折檻しナイフで斬り殺す」という、希望を見させてから絶望に落とし込むというなかなかにエグいやり方。
演じたイーサン・ホークが凄いというのもあるんだけど、ふとした時の目は優しそうに見えるのに、言ってることもやってることも怖すぎて、異常感が増し増し。
そんなグラバーに殺された少年たちが、今回誘拐された少年であるフィニーに「俺たちはこういう事をしたよ」「グラバーはこういう事をするよ」と黒電話を通じて教えてくれることで物語が進展していく。
ただ、実のところフィニー自身が何か自分で行ったということはなく、言われるがままに導かれ、結果的に救われた…というだけに過ぎない。
それでも、勇気を振り絞りたくましく成長したフィニーは見ていて感慨深いものがあった。
また、もう一人の主人公であるフィニーの妹のグウェンが可愛い!
詳細に語られてはいないけど、兄妹の母親は予知夢能力を持っており、それが原因で自殺してしまったようだが、彼女もその能力をしっかり受け継いでおり、誘拐された兄のために翻弄する。
そのブラコンぶりはすさまじく、いじめられた兄を助けるためにいじめっ子の頭を石でかち割るほど。
こんな妹欲しかったぜ…。
最後の攻防戦はそれまでの伏線すべてが見事に無駄なく回収されていたので、関心と同時に感動しました。
1970年代という設定から映像や演出の端々に当時の雰囲気を感じさせ、舞台装置もしっかりしていると思います。
大作とは言わないけど、間違いなく良作ではあると思います。