すずき

ブラック・フォンのすずきのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.5
1978年、アメリカの地方都市。
そこでは、謎の人攫い「グラバー」による、十代の少年たちの失踪事件が多発していた。
虐められっ子のフィニー少年も、グラバーによって攫われ、地下室に閉じ込められてしまう。
そこには壁に取り付けられた黒電話。だが回線は取り払われている。
しかし、どこにも繋がらない筈の黒電話に着信アリ!
フィニーは電話を取るが、受話器から聞こえる声は、グラバーに殺された被害者少年たちからの霊界通信だった…

イーサン・ホークが恐ろしい殺人鬼を演じた、オカルト・サスペンス・ジュブナイル映画。
この年のベストに挙げる人もいたけれど、私はそれでハードル上げすぎちゃったな…。
普通に良作ではあるし、あまり見ないジャンルの映画ではあるから、刺さる人には刺さるんだろう。

映画は閉じ込められた地下室から、限られたアイテムを使って出口を目指す、脱出ゲームみたいな内容。
ヒントとなるのは断線した黒電話から伝えられる霊の言葉。
彼らが殺される前に地下室に残したモノが少年の力となる。
虐められっ子が知恵と勇気でもって悪い奴をやっつける、ジュブナイル成長物語だ。
ゴア描写も控えめでエロ要素もないので、主人公と同じ年頃の少年少女にもウケるんじゃないだろうか。

あと生まれつきの霊能力で兄の居場所を探る、主人公の妹の視点のストーリーも同時に展開する。
しかしそれは結局の所、あんまり囚われの兄の助けになってないし、2つの視点はほとんど絡まずに終わる。
主人公の脱出ストーリーだけを語るならば本編に不要な物語なんだけれど、その世界観の奥行きがスティーブン・キングっぽくて好き。