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デューン 砂の惑星PART2のmのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.8
ドゥニ監督らしい魔的なものが存分に発揮された巨大で凄い映画だけど、特に心は動かされなかった。
革命の巨大な暴力のカタルシスではなく政治という大きな流れの厭さをこそ強調して描く所にドゥニらしさがあるものの、その一方で昔からあるドゥニの母性信仰と原作の古さと紋切り型ドラマが悪魔合体しちゃって色々気持ち悪い部分が出てきてしまっている感は凄くある。それ故に何か巨大な映画を観た充足感はあるものの、ドラマとして何か心を動かされたりするものはここには無い。前作にはその辺少しあったのだけど・・。決闘中の視線劇やその後の座らない人達の演出は凄く良くて、そういう所にドラマ演出の良さがあるにはあるけど諸々の問題でその演出がそこまで活きず何となく冷静に観てしまう。
演出力と技術面の圧倒的凄さと役者力でその辺の弱さをカバーしている印象。

じわーっと魔的なものを放出してきて魔女への適役っぷりを発揮するレベッカ・ファーガソン、つまらない役を役者力(&細かい演出)で持ち上げてくるフローレンス・ピュー、実に楽しそうにサイコな悪役を魅力的に演じるオースティン・バトラー、登場時間5分くらいでしかもめちゃくちゃ古臭い役なのにフルサイズレーザーIMAXの画面に顔面ドアップが映えまくる故に印象に残るレア・セドゥ、そして1カット出演を流石の目ヂカラで持っていくあの人が印象に残る。疲れた権力者のしんどさを体現するクリストファー・ウォーケンも良かったな。

ドゥニさん、そろそろ「灼熱の魂」の頃に戻ろうぜ。
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