ベルベー

デューン 砂の惑星PART2のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

もし去年公開だったら「ゴジラ-1.0」の強力なライバルになっていただろう。アホみたいな大金を活用できているとは言い難いVFXのブロックバスターが多い昨今のハリウッドで、潤沢な予算をしっかり有効活用したSF大作。しかし、PART1がウケたとは言え良く予算下りたな本当。キャッチーさは二の次で作られた叙事詩の映像再現。「スター・ウォーズ」が商業最優先の作りしか許されなくなった今、本作のようなSFがちゃんと世に出るのはとても良いことだと思う。

しかし用語が分からん。前作の大まかな流れはちゃんと覚えていたんだけど、用語までは無理でした。でもビジュアルで敵味方がはっきり区別できるようになっているので、今回も大まかな流れは分かりやすくなっている。こういう気配りが自然にできるのが、ヴィルヌーヴがその作家性に反してメジャー大作を任せられる所以なんだろうな。

ロケーションもセットもV系バンドのMVレベル100みたいな映像がずっと続くので大変目の保養になる。加えてVFXのレベルも高い。前作に引き続き、多くのクリエイターが挫折したフランク・ハーバードの原作の再現を巧くやっている。ジョージ・ルーカスの逆輸入が巧いとも言うかもしれないが。あと、胎児の表現はリンチが好きそうな感じでオマージュだったんだろうか。

ただ、叙事詩を大真面目にやった結果、大仰すぎて我に帰る瞬間も結構あった。とにかく長いんだな。長かった前作より10分も長い。ワンカットワンカットが几帳面で、そこに仰々しい台詞が乗るのでリアリティを志向した映像の割に演劇を観ている気分に。

前半几帳面にやりすぎたのか、クライマックスがやたら駆け足でそこも作り物感漂っていた。多分素材だけだと3時間半はあったろ。フェイド=ラウサなんてアラキスに降り立つまでずっと丁寧に描写してるのに、ポールと対峙してからあんなあっさり…。

あとヴィルヌーヴ、ユーモアがある人ではないのでコミカルにやろうとしたシーンでスベり、そこで集中力が切れてしまうという箇所が幾つかあった。名優ハビエル・バルデム、最近スべる役回りが多い気がするが気のせいか。

キャストの豪華絢爛さは凄かった前作より更にパワーアップ。クリストファー・ウォーケンが皇帝でフローレンス・ピューが皇女という強さ。最早誰?なメイクのオースティン・バトラーも凶悪なフェイド=ラウサを好演。あとレア・セドゥ出番ちょっとだけど色気が凄かった。アニャ・テイラー=ジョイは公開まで出演を伏せた方が良かったんじゃ…。

ティモシー・シャラメ、相変わらずかっこいいんだが前作の時にはそこまでバレてなかった軽薄寄りなプライベートがノイズになったかも…ウォンカみたいな役ならまだ気にならないんだが。ゼンデイヤはひたすら可哀想な目に遭い傷つきながらも誇りを捨てない凛々しさがカッコよかった。バウティスタは敵味方からボコボコにされておいたわしかったな…。あと、サンドワームってあんなマスコットみたいなポジションになるんだ。

ハンス・ジマーの音楽は前作に引き続き鬼気迫るものがあり、雰囲気作りに多大な貢献をしている。結論、面白かった…んだけど、ヴィルヌーヴ、何年「デューン」に捧げるつもりなんだと不安にはなった笑。一応次は別のを撮るらしいが…SFだけの人ではないので、他にも色々やってほしいです!
ベルベー

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