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デューン 砂の惑星PART2のyのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

大画面大音響をみごとに使いこなして何を体験させてくれるかといえば、異星の風景や文化、未来の神話的戦争よりもなによりも、ハードコアな宗教的高揚なのであった。攻めるなドゥニ と観ながら思ったが、帰り道考えてみれば原作を現在において生きた映画にするには順当な体重のかけかたなんだな多分
しかもそれを冷静に見つめるドラマが並走するバランス、真面目なドゥニドゥニすっきすき

皇帝の船の壁が爆発の振動で揺れるカットがだいっすき

あと対・収穫機用の地雷がカッコよすぎてだいすき 飛翔してくる畳みたいなやつ
地雷ほかメカニックも衣装もシルエットが想像から少しズラされているのがいい 砂遁の管とか平たいだけでこんなにかっこいいんだよ センスセンスセンス

まずこれはもう言うまでもないんですが、画音に関しては1フレたりとも隙がない。完璧。前作から比べるとちと娯楽寄りではあるがそれは良い方向に働いているし、徹底してドゥニのトーンのまま超大作ド派手アクションになっている……こんなにピンボケとか煙とか薄暗さでモノが見えづらいエンタメ超大作が実現するなんて!!!笑

しかもテーマ的なとこが今までのドゥニ映画の集大成になってんのがすげえんだよな 来たるさだめを受け入れること、血の呪い、母というもの、巨大なシステム/上位構造との対立、盲信、などなどなど 一作めの時から疑ってたけどやっぱドゥニこそがクィザッツ・ハデラックって可能性ある



最序盤伏せてるとこの長回し 前作と比べて小慣れている感じが安心感あった
全体的に視線の演出とキリトリがいい
今更言うけど前回のハンターシーカーのとことか、あんま上手くいってなかったよな


ハルコンネン兵たちが岩場に登るところ、諸ハリウッド大作から比べたら地味な場面のはずなんだが、すごいモノ見せられてる感じになる凄み
音の力も大きいけど、全体のタッチが地味で繊細でありつつもボールド&エピックという驚異のバランスで統一されてるからこそ可能なんだと思う どういう技だよ (これは後半でガーニーが収穫機から降りるところでも感じる 浮遊ギミックは半端にしか出てこないのに違和感ない絶妙すぎるバランス)
ギミックを見せるための演出ではなく、目の前で実際にそれが起こった時にどう撮るか、という平熱の演出。リアリティを出すには王道の、というか外せないやり口だが、この規模感と内容でここまで徹底できてる映画は珍しい



細いとこ通るとこの動く影

砂丘にふたり座るチャニとチャニ友の座り方こんどパクる

砂歩きランデブーのロマンティックさ

収穫機襲撃アクションのシンプルな充実
つーか全体、死ぬほどシンプルなのにつよつよ
背後から迫る敵をザ・ロックみたいな倒し方するチャニつよつよ


悪役の立て方の教科書やねフェイド・ラウサ 酷薄さや非人間性の中に妙に柔らかい人間性が入ってきたときのリアルな厭さ 凡百の映画はこれをうまく出来ないから狂人がキャラクターにならず装置で留まる


ベネゲセリットの頭巾かっけえっすよね ヘルボーイ2の大聖堂頭みたいなね ハコな感じ
全体的にトバした衣装のシルエットがめちゃくちゃに良い それによってスティルスーツを着たメイン若者二人のすらりとした体躯の美がまた際立つのである
ベネゲセリット衣装の感じがリンチ版のアリアを思わせてキュン
つーかアリアあの人なの納得しかなくて最高


皇帝の星かっこいいな クセつよな他の惑星のなか、ニュートラルな気候でありつつ迫力と説得力がある こういう見せ方はセンスとしかいいようがない


ハビエル・バルデムの最高の演技力を駆使して表現される、多種多様で彩ゆたかな「リサーン・アル=ガイブ」
「……リサーン・アル=ガイブ…」
「リサーン・アル=ガイブ…!」
「ッリサーンアルガイッブ!!!」(←これはラストの)
このオッサンを冷静に見つめつつも、観てる側がつい同調できてしまうのがこの映画の巧さの証拠

異世界を描くにあたって観客への導線として何より機能するのはシンプルに役者だということを噛み締める。リアクションの説得力、セリフにならないくらいの感情の手触りのリアリティが客のガードを少しずつ剥がしていく。
たとえば砂虫ライドの儀式のあたり、チャニとスティルガーのリアクション芝居で我々は、この意味わからんスペクタクルを正しい(と思われる)角度で的確に味わうことができる。
そしてさらに、そこではシンクロしていた二人のリアクションが、ポールのマフディー仕草のなかで(同じポールをみつめつつ、同じ密度を保ったままで)乖離していく…という設計もしっかり機能している。

こういうやり口は基本のキだし、リドスコとかも地味にちゃんとやるから長年第一線にいるんだと思うんだけど、ドゥニのが湿っぽくて優しくて細やかなのでよりメジャー文法に近いんすかね、というのは雑な物言い


モノクロよかった
ジエディプライム名物クソキモ花火は二段階で広がる動きと音がキモ


政治的歴史的文化的文脈の織り込みかたが巧みで、こりゃ何十年もみんなこの原作を携えて創作しちゃうよねという説得力がある


最大の難点はスフィル・ハワトが出てないこと 何度でも観たいスフィル・ハワト また会いたいよスフィル・ハワト

あとドゥニが撮るチャークサ!観たかった気持ちもちょっとあるよね いやないな
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