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デューン 砂の惑星PART2のarchのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.5
前作に感じていた面白い云々よりも、感心が先に立つような生真面目な映像への翻訳力は残したままに、今回はそのビジュアル面において表現の更新が行われ、ちゃんと「面白い」と感じられる映画になっていた。
原作がそんなに好きではない人間なので、より忠実に展開を描写すればするほど、予言とか運命とかに起因してぶっきらぼうに展開する物語に違和感は募るのだが、それをビジュアルで強引に壮大なスペクタクルとして、格を引き上げている。グラシネの爆発力によって傑作に引き上げられたような感覚が一番強い作品だった。


ストーリーについて。上述したように運命とか予言に振り回される形で話が展開していく話に苦手意識がある。特に前作はそれに加えて、大体ポールは受動的に振り回される展開が続く為、ゲンナリするものになっていた。最後の覚悟を決めるシーンですら、一方的に申し込まれた決闘で、あっさりさすら感じる締め方のため、受動的に振る舞わなければならない環境からの一転になる場面としてややインパクト弱いシーンに感じた。加えて言うなら結局本作もポールはモヤモヤして映画の大半を過ごしそこからの覚醒(最後には一騎打ち)という展開なので、既視感は否めない。

ストーリーで良かった場面として、サンドワームを通した通過儀礼によって英雄譚を描くことはそのビジュアル力を以て成功していたと思う。サンドワームを操ることが、ちゃんと彼の資質の証明になっているのは予言云々の描写より納得感がある。
それは1作目から引き続き、サンドワームの存在感をしっかり重要視していたことのおかげでもあるのだろう。

映像面については、前作よりイマジネーションに満ち溢れ、スペクタクルという言葉にふさわしい迫力があった。特にハルコンネンに闘技場の場面は原作のイメージを遥かに更新した場面で、天才的。
白黒なんだけど、カラーという塩梅の色彩感がかなり新鮮。

他にもだだっ広い砂漠に2人でいるショットなんかも良かったし、映画の掴みである冒頭のフレメン達によるハルコンネン軍の撃退場面の縦軸アクションも前作にない面白さだった。


この先の原作は読んでいないので、part3が楽しみである。
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