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アリランのarchのレビュー・感想・評価

アリラン(2011年製作の映画)
3.6
究極のセルフドキュメンタリー。
撮り手と被写体が同一の時に、どうしても漂う嘘くささを逆手にとったような作品。
サバイバル生活している様子を1台のカメラ「マーク2」で撮影していき、映画を撮れなくなった自分を撮ることで、「映画」をとろうとする。
ドキュメンタリーながらも明らかなカット割りやカメラを意識した振る舞いがあり、演技と演出が、多分に持ち込まれている。
中でもモンタージュによって自分と喋り出す展開はもう凄い。ある意味で自意識との戦いを、最も「真実らしく」映し出す方法ではあるが、セルフでやってしまうことの臭さはある。
だが、そういった臭みは百も承知で、むしろ自分を虚構の世界(映画の世界)に引きづり込む行為にすら思える。その果てに彼は銃を手にして、まるで映内のヒットマンのように振る舞い始める。


彼の語る映画という媒体への危機感、かつての事故に対しての監督としての自責。15本も世に送り出し、世界に認められた私が映画を撮れないことは「映画」になる、という自負に裏付けされたそれらの独白。実際面白いかといわれたら面白くないが、興味深くはあった。
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