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デューン 砂の惑星PART2のbuchikenのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5
ドゥニ・ヴィルヌーヴは劣化したのだろうか?

極端なクローズアップが多く、鳴りっぱなしの音楽、限界まで引き上げられた音量(前作では劇場のスピーカーが壊れたと苦情が来たとかいう話もある)は、上映時間の長さもあって疲労感が強い。

それはPart1でもそうだったが、今回で更に強化された。

今作は世界中で大ヒットしていて、他の作品もこの方法論を真似するのではないかと思うと、少々辟易してしまう自分がいる。(もうとっくにそうなっているかもしれないけど)

憶測でしかないけど、監督自身も「モンスターを作ってしまった」と自嘲気味に認めているように、長くて暗いがとても美しい「ブレードランナー2049」での興行的失敗が影響しているのではないか?(8000万ドルもの赤字だったそうな)

それならもっとカットを早く割り、シーン単位時間を削る方向に行くべきだろうし、Part1での批判(長い眠い)はそこに集中している。
もっと早く、もっと派手な戦闘シーンを入れよ、という市場の要求にPart2は答えているように思うし、それによって評価はPart1に比べても格段に上がっている。
ただし個人的にはPart1の低評価は不当だと思っている。
なぜなら基本的にPart1も2も同じ方法論で作られているし、2つで1つの作品でもあるからだ。

Part2ではサブテキストをどう入れ込むのかに注目していたけど、今の時点ではあまりそれは感じられず、作品の深みとしてはちょっと物足りない。


と、否定的な意見から入ったものの、私のスコアは4.5。
それらマイナスを補って余りある画面のクオリティの高さとハンス・ジマーによる楽曲が作り出す世界観が圧倒的!

印象的なのは冒頭のハルコンネン部隊による追撃シーン、劇場が震える砂虫乗りのシーン、最高にキモいフェイド・ラウサの闘技場シーンなど見所が多い。

クリアな画面を捨て、解像度を下げてでもフィルターを使った暗いモノトーンは前作の時点で否定的に捉えられていたけど、今回白黒の画面を登場させることで良い変化をもたらしたと共に、モノトーンをより強調し独特の映像世界観を完成させたと思う。

という訳で劣化どころか更に良くなった部分もありで、次回作(DUNE以外の作品らしい)も超期待してしまいます。
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