buchiken

東京物語のbuchikenのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.0
全編に渡り均整のとれた画面が、作品の品格を高めている。
風景のショットは、近景を強く意識させる物の配置で、浮世絵を思い起こす。
小津監督の特徴である会話中挿入される正面からのショットは、違和感がありて思考を促される。
”なぜここで正面で、しかも不自然な台詞回し?“といった感じで。
よそよそしさや上辺を装うのを見せたいのか?
意図はよくわからないけど、ともすれば退屈な会話になりそうな画面に変化が起きて、ある種のリズムのようなものになっている。
興味深いやり方だと思う。
若い頃に観ていれば、ただの退屈な家族ドラマとしか感じなかっただろうが、ある程度歳を重ねている今は、この父親の心境を切実に感じる事ができる。
数少ない大人の為の映画だ。
buchiken

buchiken