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ザ・クリエイター/創造者のbuchikenのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
1.0
注意!核心には触れてませんが若干のネタバレを含みます。

これはSFというより、ただロボットを擬人化させただけじゃないのか?

AIについての哲学がそれほどあるわけでもないし、人間についての深い洞察があるわけでもない。
この話はどの時代でも成立する気がする。

いやいや、単なる娯楽映画だからそれでいいんだ、と自分を納得させるとする。

しかし、その娯楽の部分でもいまいち乗り切れない。

何度も窮地に立たされる主人公。
敵も間抜けな為か、割とあっさり逆転してという都合が良いのを何度か繰り返した気がする。

巨額で作ったノマドも、単なるミサイル発射基地で、そんなの今でも軍艦から発射しまくれるだろうに、なぜ宇宙に作ったのかサッパリ解らない。
オマケにレーザー光線で照準を合わせないとならない、無誘導弾というローテクぶり。

何の為のものか全く解らない超巨大な建物のロングショット。
2000年代にこういうCGイラストが流行ったし好きだったが、別に新しくはない。

浮く意味がイマイチ解らない船。
地下研究所の立派さの割に、AIの持つ武器のちゃちさ。

なぜかトランシーバーで会話したり、人が来ても眠りから覚めないノーセンサーのAI渡辺謙。
そもそもエネルギーはどうしてる?
USBメモリ的な物を頭に挿すから、AI達はオフラインなのかもしれないが、なぜそうなのかという説明は全くない。
しかしUSBなんか挿したら、コンピュータウイルスに感染してやられそうだがなあ。
そう考えると、アルフィはAI初のwifi搭載なのかもしれない。
が、もちろん説明は無い。
そして彼女は成長する!どうやって?
もちろん…以下同文。

アメリカ軍の巨大な戦車。1000t程ありそうだが、戦場ではただの的だろう。RPGを目を瞑って発射しても当たりそうである。

自爆ロボットは走って突入するが、ミサイル以上の効果も意味も無いだろう。

全ては雰囲気の為なのだ。
細かい設定の辻褄より、描きたい絵を優先させた。
伝わるのはこれだけだ。

こんな細かい事を言うのは無粋なのは承知しています。
数あるSFの名作でも矛盾は数多い。
それでも、それをカバーする哲学があれば全く気にならないもの。

映像作品に必要なのは、もっともらしさだと思う。
元々が作り物だから、放っておくとどんどん嘘臭くなっていく。
映像がリアリスティックであればあるほど、そこには注意が必要なのだ。
これがアニメだったらここまで気にならなかったかもしれないが。
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