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カッコーの巣の上でのtagomagoのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
5.0
なんでもかんでも管理したがる体制側にひと泡ふかせる痛快な映画と思っていたらかなり重い一撃が入る映画だった。
マクマーフィのクズっぷりは重罪を犯して労役から逃れるために精神病院に入ることから明らかで看過できない点だけど凄い魅力的なキャラクター。とにかくマクマーフィをずっと見せてくれてと思わせてしまってる時点でどれだけジャック・ニコルソンの演技が素晴らしいかが分かる。どんちゃん騒ぎの中、表情だけをアップにして長回しするだけで彼の心の機微が分かるような仕掛けと画面を支配する演技に感服です。
その他患者を演じた俳優たちの個性豊かな演技はもちろん、婦長を演じたルイーズ・フレッチャーもお見事。何言っても通じなさそうだしあんな顔で詰められたら震えます。

「ショーシャンクの空に」で労働の後のビールで乾杯して気力を取り戻す名場面があるが、同じくバスケットをしたり無断で外出して海釣りを楽しんだりと人間性を取り戻そうとする姿に頬が緩む。人間らしくある姿が感動を呼ぶ。
最後、マクマーフィに一緒に行こうと呼びかけるチーフ、2人の友情に静かに涙する。アメリカン・ニューシネマの金字塔。
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