Carly

ゴヤの名画と優しい泥棒のCarlyのレビュー・感想・評価

ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)
4.3
ケンプトンじいちゃーーーん!!!もう!すごくすき!ってなる映画だ。
まずオープニング。秒速で心を射抜かれた。テンポのよい音楽と分割画面をタイプライターの音に重ねて…もうここだけ繰り返し見たいって思うくらいすき。(この分割画面というのは60年代の流行でもあるそう)
イギリスの60sの世界観が完璧に再現されていて階級社会の片鱗があちこちに見え隠れしている。街中にも、家にも。バントン家のティーポットはわたしが買うか迷ってたところのやつっぽくて、この頃にはもうあったのだなぁなんて思ったり。
とにかく破天荒なケンプトンじいちゃんが最高。ロビンフッドに感化されてて、自分の信念を曲げない頑固者。でも奥さまには弱くて喧嘩しても仲直りを言い出すのは自分から。そんな父をちょっとなぁ、って(多分)思いつつリスペクトしているのが分かる息子のジャッキー。盗み出したゴヤはどこに隠す?って二人でわぁわぁしてるところすごくすき。家の中で女に隠し事できないってのは万国共通なのかも。
ヘレン・ミレンが本作では助役に徹していて、強い存在感はないけれどやっぱり素晴らしい表現力で。この人ほんと何でもできるなぁって改めて思った。あと、弁護士のマシュー・グード。彼が法廷で語る言葉を本にしたいくらいだった。それか新聞の一面広告にしてほしい。みんな聞いてくれ。
冒頭から最後まで音楽すごくすきだなぁって考えてたんだけど、ちょっとルパン三世のジャズセッションぽい雰囲気な気がする。だからこんなに好きなのかーって妙にうんうん納得してた。
今回は試写会で拝見し、美術館の主任研究員さんのお話を聞けたのがもう面白くって映画の良さが倍増した。ウェリントン侯爵は絵を気に入ってなかった?美術館のWCに窓がない?マホガニー板に描かれた絵って?専門家のお話を分かりやすくお話してくださってとても良かった~もう一回観たいよ!
Carly

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