このレビューはネタバレを含みます
🖼勝手に秋の絵画展🎨㉒
ゴヤ盗難事件に乗じ一市民の主張を唱えたケンプトン・バントンの実話。
映画ではケンプトンに照準が合わされているため、周りの人達が嫌な連中のように描かれているけど、実際はケンプトンがお喋りの皮肉屋で仕事もろくに出来ないダメ男だったのでは?
身近にいたら私も敬遠してしまうかも。
そんな男が当時話題のゴヤ画「ウェリントン公爵」の盗難に乗じて要求したのが“公共放送の無料化”、貴重な税金を14万ポンドも絵に注ぎ込むくらいなら、もっと社会的弱者を援助するような使い方をしろという主張が痛快で面白い。
法廷での漫才のようなケンプトンの弁明の後の傍聴者や弁護士はもちろん、結審の場での陪審員や裁判官までもが同じ思いを共有し笑みを浮かべる瞬間が胸スカ。
本筋と関係なさそうな娘の死と戯曲の部分は必要?とか、
そもそも絵を盗んだ息子ジャッキーの動機は何だったの?とか、
ツッコミ所はあるけど総じて面白かった。
画面分割で展開する演出も小気味良く、60年代刑事ドラマ風BGMも“らしくて”良かった。
周りから煙たがられるダメ男の一世一代の大立ち回りが愉快、人生どこに晴れ舞台が待ってるか分からない。
でも結局は、芯にあるブレない優しさが人と人を繋いで行くんだな。
面白かった。
監督 ロジャー・ミッシェル
キャスト
ジム・ブロードベント
ヘレン・ミレン
フィオン・ホワイトヘッド
アンナ・マックスウェル・マーティン
マシュー・グード
ジャック・バンデイラ
エイミー・ケリー
シャーロット・スペンサー