柏エシディシ

ボイリング・ポイント/沸騰の柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
傑作ドラマThe Bearシーズン2に煽られ、レストラン映画が観たくなり気になってて見逃していた本作を。
個人的に出ていると嬉しくなる俳優のひとりスティーヴン・グレアム主演の長回しワンカット群像劇。
結論から言うと、物足りない作品だった。
長回しワンカットの手間と工夫という面では「エルミタージュ幻想」や「ビクトリア」ほどの凄みや技術的な高さは感じないし、ワンカットを用いることによってドラマ的なカタルシスに巧く活かしているかというとそうでもない。
確かに長回しなんだけど、結局シチュエーションを数珠繋ぎにしているだけ。
これってワンカットにする必要ある?
「ワンカットで頑張った」という域を出ていない。
これならば、普通の作劇でもっと俳優陣の演技をじっくり見せたり、群像劇ならではの重層的なケミストリーを見せた方が良かったのでは……
スティーヴン・グレアムやジェイソン・フレミングは割と名前が通った俳優だけれど無名中心のキャストを逆手に取って、もっと臨場感やリアリティのある作劇に仕上げられたと思うと少し残念。
あからさまに差別意識丸出しのクソ客のくだりとか、自傷癖のあるパティシェ見習いと先輩のシーンとか良い切り口があるだけに。
結局、彼らを含めてキャラクターたちがステレオタイプで、各エピソードも断続的でノリ切れなかった。
あと、レストラン映画としての「調理」のシーンをスリリングに魅力的に活写出来ていないのも痛い。
ちょっと、他の作品で「口直し」したいかな…
柏エシディシ

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