せいみー

ウーマン・トーキング 私たちの選択のせいみーのレビュー・感想・評価

4.2
『ウーマントーキング』
Filmarks試写会にて。

この映画は2010年に自給自足の生活をするコミュニティ内で起きた、連続レイプ事件を基にした映画。
このコミュニティの女性は、眠らされ知らぬ間に暴力を受けていた。年齢も見た目も性格も性的思考も関係なく、誰もが被害を受けうるという点で、女性は皆「被害性」を強く持つ。一方、男性は暴力をしていようがしていまいが、誰もが「加害性」を持つ。
女性たちは安全・自由・権利を得るため、女性たちだけで話し合う。しかし唯一書記官としている男性のオーガストは、自身の「加害性」ゆえ、何もできない。何かしても逆に恐怖を与え、害を与えてしまうことをわかっているからだ。

このコミュニティに限らず、女性の「被害性」と男性の「加害性」は、現代日本を含む、すべての国・地域に存在する。
いち成人男性として映画を観ていて、映画の女性たちの「被害性」の世界に引き込まれ、彼女たちのつらさに同情し苦しむのと同時に、自身の避けられない「加害性」を嫌悪し、味わったことのない悔しさともどかしさを覚えた。
私は誓って女性に乱暴なことをしたことはないと言える。けれども、「被害性」を持つ女性には常に恐怖があること、私が気づいていないところで傷つけていることもあると反省した。

こんなに見ていて悩んだ映画はない。おそらく、女性の見方は全然違うのだろう。
恐ろしい実話を、ここまで深くリアルに描けるとは。素晴らしい映画。
せいみー

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