消々

ウーマン・トーキング 私たちの選択の消々のレビュー・感想・評価

3.0
「話し合いで決定する」っていうほど簡単じゃない。なんなら難しい。
でも彼女らには一致して深い信仰があって、そこに忠実に生きることが刷り込まれているからなし得たことだと思う。
信仰は絶対的であり、そこに忠実に生きる。ここは少なくとも全員一致している。その中で、「男達=悪」とし、子供や自分の未来を守るために闘うのか。もしくは「村の体制=悪」であり、男達もある意味でその犠牲者だから、彼らを赦すためにも、また彼女ら自身のためにも村を離れるのか。感情をときに爆発させながら、神学的な対話と現実的な解の模索を行ったり来たりしながら意見がまとまっていく様子は、まるで交響曲のような展開だった。
(ここからネタバレかも)
ただ、これから信仰を根本から揺るがす場面に遭遇した時、彼女らはどうなるのか。信仰に背くという選択肢が出てきた時。神と信仰で完結していた世界から離れることは、彼女らの解放でもあり、解放は別に善ではない。新たな苦しみや自立や選択の責任を負いながら、彼女らはどう生きるんだろうか。
あと、一番ぞっとしたのは、時代設定だった。1800年代とか20世紀初頭とか、少なくとも「近代」としてくくられる時代だとなぜか思っていた。作中で素っ頓狂なほど唐突に提示されるから、そこで確認してほしい。
消々

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