Frengersさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 巨大な力を現代において如何に使うべきかというテーマに挑んだ本作。
 ここでの敵は、アベンジャーズそれぞれが持つ力の種類、考え方を浮かび上がらせるためだけにほぼ存在する。その特別な能力はあわよくば権力
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名探偵コナン 紺青の拳(2019年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 プロットはこれまでの映画の集大成的。話が進むに連れ、登場人物の見せ場づくりのために動くような違和感がかなりある。犯人の動機、道具の使い方、同士討ち等々の展開にはっきりとした筋道を見出すのは難しいし、>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

3.8

相当ダダイスティック。ナレーションもスピーカーを(対位法的に)使い分けているので映画館をおすすめしたい。

荒野にて(2017年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 映像はシンプル。主人公の移動する、ご飯を食べる、会話をする場面を反復する。単調とさえ言える画面は、主人公を取り巻く環境が確実に変わっていくことを暴き出し、同時にその世界のなかでの個人の無力さをも炙り>>続きを読む

パディントン(2014年製作の映画)

3.2

 面白かった。編集はかなりモダン。残念なのは悉くカメラの位置が悪いように感じられること。対象に近すぎる故に動きが見えづらい、若しくは距離を感じられるショットがあまりにも少ない。動きの連鎖は運動を感じと>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

 黄色いグラスが黄色いゴミ箱の収まったように、それぞれの色に収まっていたものが、クリスマスとともに昇華される瞬間にグッとくるものはあったし、尊厳と気配りに着地したプロットも良かった。グラスを下げること>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.2

前半の鯉(恋)、パンツ、酒、達磨、林檎という小道具がそれぞれのキャラクターの間を巡ることによって生まれる連続性が非常に面白かった。終盤の夢うつつのシークエンスでのイメージの氾濫は刺激的ではあっても、>>続きを読む

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

3.2

それぞれの足元、手元、顔が繋がりをしめし、さらに円、円運動するなにかが躍動を強調していてかなり良い。移動を丁寧に繋いでいく古典性もさらに素晴らしい。後半部分で端役の一人ひとりの喪失感に寄り添ってしま>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 劇場鑑賞。
 プロットはシンプル。男が去っていったあとを描写することで、現代社会への女性の批評とエンパワーメントが両立している感じ。
 映像に関してはある意味禁欲的。基本的なカメラの動きは三つだけ。
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スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

3.6

@IMAX3D
アニメーションの世界において一つのランドマーク足り得る作品だと思う。親子・世代間の継承、今日性も素晴らしいし、反復するいくつかの場面はかなりグッと来るものがある。そして同じ画面に、
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M(1931年製作の映画)

4.4

円形、上下、降りていくこと/上ること、鏡で見て思い知らされるMと自分自身、煙草を落とす場面は爆笑。

「Fantastic Mr Fox」の「カス」とののしりあう場面は、本作における「赤だ」「緑だ」の
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運び屋(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 超最高。切り返しで交互の顔を映していた会話の場面が、一人ひとりの独白になる瞬間、あるいは家族、ブラッドリークーパー演じる警察官と同じ画面に収まる瞬間の美しさは何にも代えられない。そして最初と最後のカ>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

 欲望についての映画でありながら、その欲望を決定しているのは主役の3人ではなく、寧ろそれを取り巻く人やモノであるという描写。会話の最中にさり気なく映る人目を憚らないカップルや往来や北朝鮮の放送、テレビ>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.6

 70年代的な社会派ドラマを「ソーシャルネットワーク」的なテンポ、編集で見せた良作。幾つか機能していない場面があったような気がしたのが残念だが、台詞・情報過多の内容を役者の動きとカメラワークでここまで>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 ストーリーのシンプルさ同様、長回し、切り返しのショットの連続で非常に古典的。しかし後半になるにつれ、徐々にシュールレアリスティック+社会的なイシューを含むようになり、曖昧になっていく。その中でも事件>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

 @ドルビーアトモス
 瞳に反射する宇宙船からの景色、子供に聞かせる歌、クロスカッティングする仕事場と家庭といった序盤の場面が特に象徴的。デイミアン・チャゼル監督作で今まで描かれてきた、夢とその代償と
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アラジンと魔法のランプ(1967年製作の映画)

1.5

登場人物全員どうかしている。+0.1
王女がモダンでかわいい +0.1
魔法が使えると豪語していた叔父がなぜか手榴弾的なものを投げる +0.1
サイケデリックな色彩 +0.1
反復する美術を生かした画
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

4.2

 有名な階段のシーンがやはり圧巻。本作をみて初めて「アンタッチャブル」の元ネタに気付いた自分の無知を恥じたい。ショットも素晴らしいし、高低差を使った上層/下層の描写も圧巻。数少ないカメラが動くいくつか>>続きを読む

ストライキ(1925年製作の映画)

3.8

 終始早回しなので疲れつつ、良かった。人間の動きや車輪をはじめとする道具の動きが、社会と映画を動かす。時計の振り子と子供が父の足を左右に振る様の重なり合うように部分と全体がリンクする様は圧巻。ゴダール>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.8

スタンダードサイズ、ショットの構図の美しさ、長回しと映像の繋ぎ、設定や道具(食事や扉、窓、照明)の連関といった映画の伝統を引き継ぎながら、「ブンミおじさんの森」「岸辺の旅」を思わせる時間、時空をカッ>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.5

 劇場鑑賞。物語を描いた大半のアメリカ映画は本作の子孫なのでは?と思わせる、高い評価も納得の金字塔。

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

何よりもまずヒッチコックの「裏窓」だろう。「裏窓」において、窓がスクリーンの比喩になっていて、ジェームススチュアート演じるカメラマンが映画・映像を見る観客を暗示していたのと同じように、ファーストカッ>>続きを読む

戦艦バウンティ号の叛乱(1935年製作の映画)

3.4

30年代にこれほどの大作/群像劇が作られていたことは素晴らしいとおもうものの、会話の場面の大半では、固定カメラ+登場人物が棒立ちで画があまりにも退屈なのが玉に瑕。海辺や船上でのいくつかのアクションは>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 良かった演出は足元のショットと眉毛の着け剥がしがそのままアリーとジャクソンの立場の交錯を物語っていた所。紐のネオン。赤い照明の使い方。序盤の触れる行為や手の扱い。LCD Soundsystemの名曲>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.3

 近未来を舞台にしながら徹底的にアナログな美術が人間の滑稽さを映し出す。映像が終始面白い。ダクトの切断と羽根の切断の関連は興味深い。高所の女性と低所の主人公。扉や歪んだ鏡やレンズ、情報局における長回し>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.2

 六角形の窓の模様が象徴するように、若しくは暗闇に浮かぶ光が象徴するように、「ミツバチのささやき」をみる人、映画に魅了される子供、巣を動き回る蜂、白黒映画の中の登場人物が結ばれる。それを暗示するかのよ>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.2

 傑作。長回しを基調とした映像の繋ぎとシンメトリー的な画面構成が均衡を崩す「何か」を強調するという素晴らしさ。演出はあまりにも濃密。視線や見ることを意識したショット、画面や「家」の反復、柱や扉による隔>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 子供たちの世界が様々な境界線によって断絶していく様をみるのはやるせなかった。庭のようでもあり、ディズニーランド的配置でもある安アパートや店が徐々に廃墟であり、朽ちていく世界だと気づかされる。それはカ>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 自分で自分の名前をつけること。つまり、自分を規定するのは他者ではなく自己であることを望んでいた主人公は、しかし他者の印象に揺れ動かされる。その自意識と脆さを都会/故郷の発見によって、外部/内部から丁>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ドルビーアトモス鑑賞。
 映画作品としては少し辛い点数に。足元のショットやタイヤ、リールの回転、扉といった演出は素晴らしかったものの、アップの多すぎとロングショットの短さでバンドを取り巻く状況が全く見
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

3.7

 プロット的には原作がボルヘスということもあり、南米的な幻想文学の系譜に属するとおもわれる。多彩な美術や音楽の引用、長回しの多用と画面の反復によって、意思と作為、現在と過去の関係性が交錯し、主人公同様>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

3.9

 放射される白と垂れる赤の対比。二つが混然一体となるプール。エロスとタナトスの象徴的な表現は、一時期の北野武作品とも共振するかも。画面の色彩感覚は60年代のフランス映画を見事に引き継いだものに見えるが>>続きを読む

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 「スリー・ビルボード」と並ぶ現代的な主題。労働者の対立を軸に置き、正義をめぐる紛糾と移民問題(広く言えば人の流れ)によって正しさの変遷もある。冒頭の夫婦の会話を筆頭に、幾度となく映るテレビや情報に象>>続きを読む

アイアン・ソルジャー(2014年製作の映画)

2.7

陸軍兵の女性を通して、社会的な成功と、母親/女性としての幸せの葛藤を描こうとする本作は、現代の流れからすれば当然作られるべき作品。その主人公を演じたミシェル・モナハンは称賛されるべき演技を見せている。>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.4

 美術、撮影、照明どれもが一級品。白、黒、赤を基調とした室内と新緑の野外との対比。静寂を乱すものーー声、音楽、呼吸音、時計の針に象徴される時間といったものが絡み合い、バラバラにされていく。
 しかし映
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