Frengersさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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犬王(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

やっぱり中盤の70年代前半のロックを引用した歌のシーンがしんどかったなぁ。弦楽器(とハーモニクス)繋がりでありながら、根本的に西洋+アフリカであるロックやバンドを引用するのは水と油だ…という観点は大友>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

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@IMAX

一番最初のバーのシーンが余りに好きすぎた。ペニー(ジェニファー・コネリー)に過去と同じことはしたくないと言われながら(最高のタイミングでかかるボウイ「Let's dance」)、自分の過
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ルッツ 海に生きる/ルッツ(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

徹底的にこだわる手と破滅を予告する足のショットを手持ちのカメラで素晴らしい構図を保ったまま収めていく。人の動きや作業を捉えながら、適度なリズムで編集する様は快楽的でもあり監督が確かな力量を持っているこ>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.3

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最近みた映画で一番近いのは、『ゴジラvsコング』かも。音声抜きで画だけで語る場面がないという意味ではマーベルとも近い。しかしマーベル作品が現代の社会を捉え、脚本に織り込めるのに対して、対岸からの実況、>>続きを読む

結婚哲学(1924年製作の映画)

3.6

夫婦がそれぞれ鏡に夢中になるシーンの反復から、もう一組の夫婦に出会うことで更で目まぐるしい反復の連続へ。足元の繰り返し、入れ換える手や名札、帽子。それがそのまま4人の男女の立場を表象する。あっという間>>続きを読む

狂った一頁(1926年製作の映画)

3.7

廻る、左右への行ったりきたりといった反復、「見ること」への錯覚、柵や窓といった平面の強調…。つまりこれは映画についての映画だ。スクリーンに映る画面に重なるイメージが『カリガリ博士』よろしく鑑賞者を狂気>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.8

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人間に寄ることなくひたすら空間を捉えるカメラ。記憶が曖昧なわれわれ人間はまるで細胞の一つかのように扱われる。きっかけの一つとなる音が再現される瞬間の草木の揺れがラストのなぞの物体に帰着する時、ミクロか>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

ただ耳を澄ますこと、話を聞くことを私たちはしていないと語りかける本作、中心に叔父と子供を置きながら、その外にある不和と狂気にまで耳を傾けるひたむきさ。
絵本の読むシーンのピン送りと林での解放の場面をみ
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ウィッカーマン final cut(2013年製作の映画)

3.7

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良かった。1973年のアメリカンニューシネマ期の作品にも関わらず、過剰なクローズアップや細やかな編集は少ない。ロケとそれを補うスタジオの撮影には未だに古きよき西部劇とも繋がりがある様に思う。
仮面、円
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名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年製作の映画)

4.5

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『純黒の悪夢(ナイトメア)』以来の傑出した作品。登場人物を絞ったことも素晴らしい決断だったと言いたい。
 映画としてもかなり頑張ってる。過去に爆弾魔と対峙した場面における、警察と犯人の立場の入れ替わり
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.2

観覧車や美術の渦巻き、眼球(みること)とピン送り、雨から雪、扉と扉窓が物語とシンクロしていてよかった。それにしても、ここまで終始カメラが動いていた映画も珍しい。カット割含め、それが役者や動きを殺してし>>続きを読む

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)

3.5

役者に設定だけ教えて自然な間や揺らぎをとらえての編集や手ぶれの長回しのドキュメンタリータッチ。きまりまくった画や照明と移動の繋ぎというとドラマ。その二つの折衷という監督の手法は「万引き家族」を待つまで>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

4.0

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心構えから音声、照明、ピントが合い、スパークスの音楽とともに主演の二人が送り出されて「映画」が始まる。そもそも全ての映画は映像を繋げたファンタジーなんだという当たり前の事実を突きつけるように突飛ともい>>続きを読む

ガールフッド(2014年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

2014年作ながら「ムーンライト」や「レ・ミゼラブル」(2019)を先駆けた内容で驚いた。髪型と色彩のビビッドな配置。青黒を基調にしたことが紫白赤を際立たせる。特に白は白人から巻き上げながらも、白人社>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

大音量のトラップの低音を尻の振動だけで楽しむシーン以外では60~70年代の曲がひたすら使われることが象徴するように、2010年代的なイシュー、映像的語彙はほぼ皆無。無理矢理ポップミュージックで例えるな>>続きを読む

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

3.7

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アクション映画。イザベルユペール演じる女性教師が歩く様が多角的に切り取られながらも、ひたすら行っては戻ってくるだけ。前半はとにかく思うようにいかない事を描き続けるが、他者が作った花を自分で生け直す中盤>>続きを読む

ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

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とにかく切なかった。後半は終らないで…と願いながら画面を見ていた。

ギター、ベース、ドラム+キーボードというベーシックな編成と呼吸の合った演奏、リラックスした場面におけるユーモアからは変わらないビー
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.7

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@IMAXレーザー
境界線と光についての映画。壁や扉、柵により引かれた線を乗り越えて人が集っていく。祝福の象徴だったはずの七色の光のもとに、人種、愛憎、生死、性別すらも1つになっていく。赤いバラやパト
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

監督の集大成的でもありつつ、さらに新しいキャストと共にその先を目指したかのような作品だった。一番近いのは「グランドブタペストホテル」かも。相変わらず情報の坩堝。今まで通り2時間以内におさめながら1.5>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

今更鑑賞、だが素晴らしかった。
ワーニャ伯父さんと映画の関係性がさらに音が紡ぐ物語と男女関係ともパラレルに。さらに最後のベッドシーンにおける両者の顔を正面から捉えたショットは「なにかが起こった」屋外の
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

亡霊の如く人に権力が移り変わり、家に人が取り憑く話。興味深いことにファッションにおける創造や流行はほぼ出てない。片側ががら空きな結婚式に象徴される半分欠けることが徐々に破滅へ向かっていくのがスリリング>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「一度終わった事をやり直す」というプロットの主軸がとにかく染みる。それは作中で反復される家族や仕事のシーンや足下のショットだけではなく、80年代に棚上げされた企画を2021年に作り上げたこと、そしてイ>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

@IMAXレーザー

興奮した。エンドゲーム以降では特に。アクションシーンやCGは最早定型通りで食傷気味なものの、冒頭の長回しから、度々言及される「3」(デ・ラ・ソウル!!!)、赤と緑の配置等々見るも
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國民の創生(1915年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

葛藤映画。固定された画面の反復により人が居なくなるor溢れかえる様が現象として記録され、北と南、白と黒、社会と個人が結ばれるダイナミズムは確かにある。ダンスパーティーのゆっくり後ろに下がるカメラも対比>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

撮られる側から撮る方へ、求められる側から求める方へ、すれ違いから追いかける側へ反転する三つの短編。長回しとガラス、扉の妙も良いが、人や車の往来が写るたび二者間の関係に変化があるところも含めロメール系譜>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

相変わらずの映画愛と音楽愛。タランティーノとゼメキスとリンチを通過した堂々としたエドガーライト節といった印象。古典的な鏡の配置、下り=夢、上り=悪夢な階段などオーセンティックな演出力を感じた。キンクス>>続きを読む

ウィンダミア夫人の扇(1925年製作の映画)

3.8

素晴らしかった。作り込まれた背の高いセットが映えるロングショット、手と扉の演出、特に鍵穴や双眼鏡による「見ること」を示すショットは、夫人が浮気現場と勘違いする際の目撃の後の横に立ち去るかっこよすぎるロ>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.6

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@映画館

主人公をドキュメントする動き揺れるカメラと画がきまりまくる固定のロングショットが絶妙。騒音と静寂の狭間を揺れ動く物語と見事に重なる。右にいくバンと左に歩く主人公の対比も泣ける。会話場面の切
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エターナルズ(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

クロエ・ジャオ:マーベルが8:2な感じ。特に逆光を中心とする光の位置や歩きながらの会話のシーン、アニミズム的な自然をいかしたショットには作家性を感じさせるものの、それ以外はスタジオマナー。環境問題、種>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

シンメトリー的な画と死体発見現場での吹雪による声の消失。そして窓の外から射す光の変化。「仮面/ペルソナ」を予期させる顔のアップと映し方、円環構造からくる信仰の揺らぎと確信。舞台のような最小限のロケーシ>>続きを読む

田舎司祭の日記 4Kデジタル・リマスター版(1951年製作の映画)

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司祭の信仰における期待が悉く裏切られ続けるものの、神からの答えはない。窓越し/扉越しのショット、二人乗りにおける流麗なカメラ回し、美しすぎるロングショットやキマリまくった画による司祭の行き交いに目が離>>続きを読む

マダムと女房(1931年製作の映画)

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ヨーロッパからアメリカへ世界の中心が移っていく時代の、日本からの回答の一つ…というのは大げさかも知れないが、現代まで続く世界における日本の立ち位置を形にしたものの一つ。英語字幕。