ももんがさんの映画レビュー・感想・評価

ももんが

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アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

4.0

ボスニア紛争末期。八千人以上の犠牲者。こんなに残虐非道な事実を始めて知った。国連は昔も今も何て無力なんだろう。国連通訳のアイダは未来がない事を知り家族を守るため半狂乱で奔走する。衝撃のラスト。

空と風と星の詩人 尹東柱(ユンドンジュ)の生涯(2015年製作の映画)

4.0

実話。韓国の詩人尹東柱。刑務所日本語尋問と大学韓国語会話が暗黒モノクロで描かれる。戦時体制での弾圧。詩人にとって表現する言語は最も大切なのに。勉強しに来ただけなのに酷過ぎる。日本人として恥ずかしい。

沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~(2020年製作の映画)

3.9

パントマイムが得意なマルセルはレジスタンスに加わる。善き人としての正義感と使命感。ユダヤ人の子供達を連れ何度も国境を越える。沢山の子供を救うのは大変な事。沈黙のパフォーマンス全身全霊のラストが感動的。>>続きを読む

白い馬(1952年製作の映画)

3.7

カラー赤い風船と対。白い野生馬のボスと少年の友情。苦労して友達になるも馬飼達に追われる。裸馬を乗りこなす少年凄い。珍しい宝物と仲良しだと妬まれる。モノクロなので余計に心に響く。馬が争うシーン撮影方法謎>>続きを読む

パパロッティ(2012年製作の映画)

4.0

演技派による師弟関係。歌手として将来を嘱望された教師と、才能はあるが裏社会との繋がりに苦しむ生徒。青年はコンクールに出演することに。アリア誰も寝てはならぬの歌唱伴奏が見どころ。夢は叶うのか。

サラエボの花(2006年製作の映画)

3.9

オシム監督推薦サラエボ内戦の話。紛争の傷跡は男女それぞれに違う。母は生活のため懸命に働くが娘は思いやることが出来ない。絶えず不安を訴える娘。ある事から母の哀しい秘密が明るみになる。辛過ぎる事実。

赤い風船(1956年製作の映画)

3.9

モノクロ白い馬と対。登校中に風船を見つけた少年。風船は帰宅後も彼の側から離れなくなる。ペットの様に言う事を聞く不思議で大切な風船。悪童達の羨望の的になりピンチになるも奇跡がおきる。撮影方法が謎。

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

3.9

斬新な動く油絵!全て絵画か俳優が演じて加工したのか謎。独特の色彩と筆使いは多数の画家によるもの。溢れる色のなか白黒回想シーンで引き立てる。手紙を届ける青年が伝えるゴッホ兄弟の強い絆に感動。

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

4.2

韓国歴史の実話。日本統治下の朝鮮半島。独自文化保存のため命懸けで辞書作成に尽力する人々。政府弾圧が強化されるも表音文字ハングルの標準語と方言を集める。ユ•ヘジン始め個性派俳優達の演技素晴らしい。

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.5

主人公パイは過酷な漂流記を語る。美しく獰猛で不吉な名前のトラとの旅。どうやって彼は生還したのか。特筆に値する束の間の夜の映像が素晴らしい。後に保険会社に語ったもう一つの現実。あれは幻覚だったのか。

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.5

考えさせられた映画だった。裕福な雇い主と貧しい運転手は肌の色が違う。才能があっても南部では理不尽な扱いを受けカラードに分けられる。黒人用施設掲載のグリーンブック。哀しい意味を初めて知った。

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.8

車椅子ジョゼと大学生ヨンソクの切ない物語。助けてくれたお礼に料理を振舞う彼女。印象的な粉雪のシーン。いつしか彼らは恋に落ちる。季節は桜新緑紅葉粉雪と移ろう。内なる世界から外の世界に踏み出す事の意味。

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.2

妖艶だった。京劇養成所の厳しさと舞台の華やかさ。二人のペアは眼福もの。女性を愛せない男と愛し過ぎる男。タブーの世界。報われない綺麗な奥さん。昔も今も芸術はパトロン次第。貴重な伝統文化の文革弾圧が残念。>>続きを読む

チャンス商会 初恋を探して(2015年製作の映画)

4.2

泣けた泣けた。初恋の七つ星と王様ことソンチルとグンニムが再会する。ユン•ヨジョンが可愛いくピンク似合う。真実隠蔽は訳があったがラスト一気に来た。韓国語会話の中では既にネタバレだった。

マラソン(2005年製作の映画)

3.7

韓国実話に基づく。自閉症の青年がマラソン大会に出場するまでを描く。自分の意思を上手く伝えられない彼。必死過ぎる母と駄目なコーチ。母親の強制か息子の意志か。趣味で社会性が身につけば何より。

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

5.0

再鑑賞。圧倒的で壮大な物語。いつの世も時代の終焉は悲劇的。籠の鳥の皇帝が自ら弁髪を断ち切るのが印象的。彼は歴史の重みに潰され近代化の波に飲まれる。初めて知った満州旗。中国楽器の蛍の光が清朝終焉を告げる>>続きを読む

ミッドナイト・ランナー(2017年製作の映画)

3.8

パク•ソジュンとカン•ハヌル扮する警察学校生のバディもの。行動派と頭脳派の二人は良いコンビ。たまたま遭遇した女性拉致事件を追う。極悪非道な人身売買犯人から彼女達を救う事が出来るのか。

活きる(1994年製作の映画)

3.8

文化大革命では反革命の烙印を押されたが最後、命の保障はなかった。頼りない夫に蓮の花の様な妻と可愛い子供達。彼は伝統の影絵に活路を見出した。集団ヒステリー時代にもっと遺せる物はなかったのだろうか。

おばあちゃんの家(2002年製作の映画)

3.8

ユ•スンホ子役時代から演技上手。少年は親の都合で田舎の祖母の元へ。都会育ちの彼は我儘で時に辛辣。高齢者への労りがない。木綿のチマチョゴリ。聾唖のハルモニの孤独と孫への無償の愛に涙した。いつか気づくこと>>続きを読む

Be With You 〜いま、会いにゆきます(2018年製作の映画)

4.4

雨の季節に戻るとの約束通り戻った妻。だが梅雨は必ず明ける。夫婦親子の別れは耐え難くただただ涙。楽しく過ごした日々も終わり近く。母は子に家事を教え父子は引き留める努力をする。それがただただ泣ける。

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

そうだったんだ!なんて素敵なお話なんだろう。北欧漁村の家政婦バベット。老姉妹の父教祖様生誕祭に十二使徒の様な老人達を笑顔にした。豪華な晩餐会で調理過程も見事。料理が解る人解らない人の対比面白い。

奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトウェ(2016年製作の映画)

3.8

実話。ウガンダのチェス天才少女のサクセスストーリー。貧困に苦しむ彼女はコーチの助けで大会に出場。見出した才能のため奔走する彼の信念が素晴らしい。愛情深い母親も印象的。低予算で地味だが絶賛おすすめ。

シュヴァリエ(2022年製作の映画)

3.8

混血児ムラートながら稀有な才能ゆえ黒いモーツァルトの異名も。爵位シュバリエを持つ黒人作曲家の先駆者。革命に身を投じ初の黒人連隊を率いた。ナポレオン圧政で一旦は闇に葬られた実在の人物が今蘇る。

あなた、その川を渡らないで(2014年製作の映画)

3.8

泣けた。なんて素敵な夫婦なんだろう。仲良く揃いの絹の韓服着てたのに。葬儀用の麻の衣を準備しなくてはならない。その川を渡らないで。たぶん川は三途の河。共に白髪の生えるまで死が二人を分つまで。理想の愛。

夜の来訪者(2015年製作の映画)

4.5

BBC制作。上流階級の祝いの席に警部が現れ工場勤務だった女性の死を告げる。自殺か他殺か。遺品の日記と写真をもとに個別聴取が始まる。彼女と面識があるのは誰か。真犯人と来訪者の正体は。良質ミステリー。

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.9

人は失聴の憂き目にあったら受容か抵抗か。高額な人工内耳サウンド•オブ•メタルを選択するのか。その音は価値があるのか。決断を後悔しなかったのか考えさせられた。耳にしたのは希望であって欲しい。

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)

4.2

号泣してしまった。老人は愛妻との約束を果たすため旅に出る。乗り継ぎバスで想い出を辿り沢山の人々と出会う。お遍路さんの様に。愛妻との約束とは大切な鞄の中身とは。アメイジンググレイスが胸を打つ。

クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

4.0

凄すぎて言葉が見つからない。信念に基づいたソ連高官と米国民間人。二人の友情や素人ならではの苦労が描かれる。キューバ危機に瀕し共に身を賭して核戦争を回避した。実在の二人はもちろん俳優も素晴らしい。 

黄金のアデーレ 名画の帰還(2015年製作の映画)

4.0

ナチはユダヤ人の命ばかりでなく多くの動産不動産を略奪した。特に異彩の美しさを放つ黄金のアデーレと呼ばれる肖像画。その素晴らしいクリムト名画の返還請求訴訟を巡る法廷もの。原告と弁護人の演技秀逸。

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

4.8

再鑑賞。心震える善き人への物語。東西ドイツ時代の相反する思想の劇作家と国防大尉。見て見ぬフリをする大尉。感謝をこめ大尉にソナタを捧げる作家。後に本屋で自分への本だと理解するHGW XX7。ラスト素晴ら>>続きを読む

雨とあなたの物語(2021年製作の映画)

3.9

SNSのない時代のすれ違いの恋。クラシカルなセピア色画面が綺麗。一途に文通相手の彼女を想い待ち続ける主人公。低確率の大晦日の雨の日に会う約束は叶うのか。素敵な傘と優しい雨が良い。エンドロール。

鉄道運転士の花束(2016年製作の映画)

3.7

沢山の花束は贖罪のためだった。鉄道運転士には人身事故は避けられない。それは大きなトラウマになる。彼は息子が運転士になる際に事故について話す。逆効果で無事故が続き父が取った驚くべき対応とは。

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.9

18世紀イングランド女王の寵愛を巡る宮廷女官同士の争い。古参と新参共にしたたかで時に壮絶。互いの足を引っ張り合う醜い争い。勝者は誰か。豪華絢爛な調度と衣装、女優演技は素晴らしかった。