ももんがさんの映画レビュー・感想・評価

ももんが

ももんが

グローリー 消えた腕時計(2016年製作の映画)

3.8

正確な時間は鉄道運行に必須。保線員は形見の腕時計と共に仕事する。遺失物を正直に届けても運輸省のカモにされ大切な時計は奪われる。表彰贈呈時計が皆不正確なのが象徴的。不正が罷り通る残念な国。

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)

3.9

インドムンバイの弁当配達人が自家製と仕出用を配達ミス。妻を亡くした男と夫と不仲の女。ミスに気付いた二人はメモを忍ばせ合う。が、異なる喪失感を埋めるのは難しい。美味しそうな料理の四段弁当箱が救い。

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.9

テヘラン。夫が冤罪で死刑になり一人娘と生きる母。彼女の勤務先が牛乳工場なのが象徴的。社会的立場の弱い未亡人は夫の友人を信頼。男の正体とは誤審判事の謝罪はあるのか。コーランの雌牛。衝撃的ラスト。

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.9

聖地マシュハド。街の浄化を名目にした連続娼婦殺人事件。蜘蛛の巣を張る狂信的サイコ犯人と罪悪感なき妻子。取材のため命がけで囮になるヒロインが凄い。裁判供述にいちいち呆れた。震撼させた実在の殺人鬼。

シルバー・スケート(2020年製作の映画)

4.0

ロシア身分違いの恋人達。貧しい青年は父手作りのスケート靴を大切にする。父は横道にそれる息子を戒め守る。雑踏や乱闘シーンなど出演者がスケート上手過ぎて見惚れた。富豪の仮面舞踏会衣装眼福。

マーシャル 法廷を変えた男(2017年製作の映画)

4.0

実話法廷もの。人種違いの被害者女性と加害者男性。後者弁護士にはユダヤ系とアフリカ系が頑張る。人種差別主義の裁判長。裁判が進むうち判明する事実。嘘をついているのは誰か。陪審員の判断はいかに。

少年の君(2019年製作の映画)

4.1

中国。優等生少女と不良少年。受験戦争といじめ問題。彼らはある事をきっかけに親しくなる。孤独な二人は熾烈な競争社会で互いを支え守り合う。予想外の展開をどう乗り越えるのか。ピュア過ぎて泣ける。

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

3.7

英国のルイス•ウェイン、彼の存在を初めて知った。才能あるも世渡り下手。実家を支える重圧と愛妻愛猫の死の喪失感。精神状態が絵に反映されてた。カンバーバッチ熱演。にゃんこピーターも可愛い。

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)

4.0

原題名はトイレの壁の落書き。アダムは学校でいじめに遭う。総合失調症は偏見も多い厄介な病気。幻聴幻覚などの症状と薬副作用も多く完治し難い。闘病には宗教や周囲の愛が支えに。良い新薬の開発が待たれる。

レールズ&タイズ(2007年製作の映画)

3.7

女性監督ならではの母性愛溢れる作品。末期ガンの妻と機関士の夫。心中の生残り少年を引き取る事に。実母に続き養母の病気を知った衝撃が可哀想。夫とジオラマで楽しく遊ぶ少年。二人は手を繋いで歩き出す。

87分の1の人生(2023年製作の映画)

3.8

スマホ使用の欠点利点が問われる。破滅的な現実逃避。薬物や飲酒の依存症になるトラウマ。互いに赦し寄り添う事で癒される。87分の1サイズのジオラマ。好きな人生を選択出来る良いストレス発散方法。

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.2

チャイナドレスの色っぽい事といったら。セピア色の画面での後ろ姿。弦楽器の切ないメロディと心臓の鼓動の様なピチカート。雨の音。既婚者同士のプラトニックな想い。花様年華は人生で最も美しく輝く瞬間。

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

4.0

フランスの高校実話。落ちこぼれクラス担当の歴史教師。彼女はホロコースト風化防止の為に尽力する。魂を揺さぶる生存者の話’診療所’の存在が恐ろしい。団結したコンクール出場の結果はいかに。

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

胸が一杯になった。幸せって何だろう。中国農村の厄介払いで結婚させられた二人。病弱な妻に夫は優しい。家畜や作物を育て少しずつ寄り添い愛を育む。言葉に表さなくても愛おしい麦の花。人はいつか土に還る。

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)

4.0

アルゼンチンの重厚な話。裁判所を退職した主人公。過去の凄惨な人妻殺害事件をテーマに小説執筆を試みる。過去と現在が交差し物語は進む。容疑者の邪悪な瞳。忘れられない被害者の夫。ラストに絶句。

ひつじ村の兄弟(2015年製作の映画)

3.6

アイスランド辺境のとある村。モフモフ羊飼いの長年不仲兄弟。家族同様に大切な名前付き羊達。伝染病で家畜殺処分は何より辛い。羊達のため和解した兄弟は暴風雪の中へ出て行く。果たして逃げ切れるのか。

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

3.7

ファルハディ監督得意の家族の揉め事。帰省先スペインで娘が失踪。身代金請求に半狂乱の母親。後から父親も合流し奔走する。娘のシーンも欲しかった。周囲を巻き込み果ては両親の過去の醜態が晒される。

この世界に残されて(2019年製作の映画)

3.7

戦後ホロコーストの爪痕が残るハンガリー。生還するも天涯孤独の身の上になった人々。共に家族を失った年の離れた男女。互いの存在によりトラウマを乗り越え立ち直って行く。ささやかな幸せは続くのか。

声優夫婦の甘くない生活(2019年製作の映画)

3.6

やや地味なお話。 1990年の旧ソ連崩壊。ユダヤ人声優夫妻は故郷の聖地イスラエルに帰る。希望に満ちた新生活も新天地では声優の需要がない。生活のため双方’不慣れな仕事’に就く。判明した互いの本当の声とは>>続きを読む

Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディ(2023年製作の映画)

4.8

聾唖の兄が可哀想過ぎ。マレーシアスラム街不法滞在の堅実な兄と破天荒な弟。血縁はないが唯一の家族。身分証より互いの存在が大切。我が身の不幸を嘆く兄。彼が声なき声をあげ嗚咽するシーンに泣かされた。

パピヨンの贈りもの(2002年製作の映画)

4.0

仏郊外の景色が素晴らしい。同じアパートの上下階に住む老人と少女。蝶の蒐集家である彼の旅に彼女はついて行く。二人とって大きな意味を持つパピヨン’イザベラ’。絶滅危惧種は発見出来るのか。

説得(2022年製作の映画)

3.8

説得。別れた恋人への遠慮がちな働きかけ。貴族の娘と貧しい青年の恋。一度は破綻したがヒロインは忘れられない。彼の想いは。再会した彼に対する態度に悩む。結婚が本人達の想いだけでは難しい。

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル(2016年製作の映画)

3.8

雄大なニュージーランド。非行で施設脱走を繰り返すマオリの少年。森の夫婦と新生活を始める。初めて家族と感じられるのが良い。訳あってツンデレおじさんと共に追われる事に。追い詰められるラスト。

スイマーズ:希望を託して(2022年製作の映画)

3.8

難民問題の実話。シリア水泳選手姉妹は祖国を捨て命懸けで海を渡る。安易に悪徳業者に騙され過ぎ。ヒロインは紆余曲折の末に五輪本番を迎える。スマホで安否確認出来るのが良い。天が与えた使命。

海洋天堂(2010年製作の映画)

4.5

切なくてラストは泣けた。自閉症を持つ子とその親。余命宣告された父の心情はいかばかりか。ケア施設を探し社会生活に馴染むよう必死に教育する。戒名のとおりまさに慈父。父親と息子の演技が素晴らしかった。

ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.9

名作らしいが余りに高尚難解で睡魔と闘いつつ完走。印象的なのは重苦しく街を覆う深い霧と、雨水滴る廃墟と化した家。燃え盛る炎。断片的に幻想現実が交錯する様なモノクロ画面。癒しはわんこ。

ピザ!(2014年製作の映画)

3.8

インドスラム街の兄弟は高価なピザを食べたくて悪戦苦闘。貧しい一家の収入使い道優先順位は違う。母は教育を犠牲にしてでも夫姑のためお金が必要。優しい祖母の真心料理。無邪気な子供は時に残酷。心が痛む。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.2

リメイク英国映画。余命宣告された公務員は家族でなく同僚に病名を告げる。心配されるより生き甲斐を選んだのか。彼女の励ましで生きる力を貰い最後の仕事達成にむけ奔走する。生きた証を残すかの様に。勇気を貰った>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

4.4

被告側弁護士は新米のトルコ人で原告側弁護士は老獪なドイツ人。加害者と被害者の過去。大虐殺に懲りず救済措置施行で戦争犯罪者が罰を免れるドイツ。大変根深い闇でこれこそ顔のないヒトラー達。

胡同(フートン)の理髪師(2006年製作の映画)

4.0

中国胡同に住む高齢の理髪師。お得意様の為なら出張も。髭剃り後の彼らの顔が満足そう。高齢客人達には亡くなる人も。独り暮らしのベテランも死に支度をする。カレンダーと時計が象徴する残りの人生。足を知る。

ラスト・ホリデイ(2006年製作の映画)

3.8

ハッピーXmas。料理好きの余命宣告を受けたヒロイン。残り時間を憧れ実現のため使う。豪華ホテルでデカいヒロインと擬似体験出来た様で楽しい。豪快な散財ぶりは客達に人柄は従業員の目を引く。彼氏良き。

栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

3.7

伊ユーゴ国境近く栗の森。その落ち葉で栗を埋葬する様なシーンは故郷への鎮魂歌。栗で生計を立てる棺桶職人マリオと栗売りマルタ。父は息子を妻は夫を待つも便りはない。老人は残り若者は去る。儚く消えた美しき村。>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

大戦終結直前のドイツ。少年兵士を夢見るジョジョ。監督脚本アドルフ役兼任。空想は喜劇だが現実は悲劇。ラストはモノクロスローモーションでの破壊と殺戮。靴紐が結べない少年も大人になる時が来た。

父さんのバイオリン(2022年製作の映画)

3.5

トルコ独特のリズム。バイオリニスト兄弟の確執には悲しい過去があった。赤毛のちび姪っ子が和解に導く。引き取るのは性格が自由奔放過ぎて躾が大変そう。子役がこましゃくれててイマイチ。