icさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

2.5

自分は同性だからか、ちょっとすんなり受け入れ難い。特別理由はないが、艶かしさに観ていられないほどの嫌悪感がある。なんだろう。

それにしても、モノクロームの中に生々しい描写、歩いている息づかいでさえ、
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サスペリア(1977年製作の映画)

3.0

「決してひとりでは見ないでください」のジャケフレーズにドキドキしながら鑑賞。

インテリアも血も、目がチカチカするほど色鮮やか。そして、音楽がモダンで迫力あるのに繊細な音色になったり、やけにゾワっとさ
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

2.8

イタリアの時代背景とともに。ネオレアリズモ。

今や、当たり前のようにある自転車、シーツ、食事…。
なんだかいたたまれない気持ちになる。
窃盗(犯罪)は事象だけで見れば、それまでだけれど、その裏には因
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ゾンビ/米国劇場公開版(1978年製作の映画)

3.5

今年自分の中でヒットしているドラマが、『ウォーキングデッド』。半年ほど見続けて、やっとシーズン7まで来ているところだが、ふと、ゾンビ映画の原点へ立ち返りたくなった。

特殊メイクとわかっていながら、ダ
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阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

2.8

家族って近くて遠いおよな。物理的に近い存在だからこそ、気持ちがつかず離れず。その距離感って安心してしまうが故だろうか。
だから、浮気も平気でできてしまったり。
"灯台下暗し。""親しき仲にも礼儀あり。
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まあだだよ(1993年製作の映画)

3.2

台詞が飛び抜けている。日本語遊びというべきか、登場人物の人柄でもあるが、ユーモアたっぷりの掛け合いが今ではなかなかない光景。面白いを通り越して、すごいなぁと。

内容は"あたたかいほっこりとしたいい話
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霧の旗(1965年製作の映画)

3.5

「君、霧は音を立てて流れるのは知っているかね」
ロマンティックな台詞がいい。

山田洋次監督の唯一のサスペンスとのこと。決してスカッとしない終わり方。むしろ、モヤッとか。
恨みや復讐の矛先は原因や根元
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マンハッタン(1979年製作の映画)

2.8

ちょっとちょっと、男も女も勝手すぎない?
信用できるのは、意外と17歳の少女だけなのか。大人びて見えて、結局無垢な彼女。

あっちが空いたからそっちへ行って、こっちが戻ればまた戻る。振り回しの連鎖。
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

『ミッドナイト・イン・パリ』の前に観るべきだったかも。ファンタジー最高!

ロマンティックで夢心地な展開。でもなんだか結末はウディ・アレンらしいなと。ぱぁっと広がった瞬間、ドスンと現実という重し。
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

えっこれ、笑っていいのよね??と、生真面目なストーリー展開に追いつくのが精一杯。

豪華キャストが本気で演じているので、笑っていいのかもわからないが、とんでも無く細部に面白い要素が散りばめられている。
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映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

2.7

製作の裏側こそ、ストーリーが詰まってる?!
映画の中の映画。まさに、映画愛。

一筋縄ではどうにもならないことばかり。
撮影と同時進行で流れる、彼らの実生活もサポートしなくてはいけない監督やスタッフ。
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

3.5

おおお、妙に納得。ウディ・アレン節に終始頷いてしまう。

決して男女の話だけじゃなく、世の中を風刺した表現がコミカルに描かれている。苦笑してしまう、細かな台詞や演出。

例えば、映画館で並んでいるとき
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イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

3.1

夢を見ていたような気持ちに。

キュートで気持ち悪いキャラクターがたくさんでてくる。トラウマになりそうな映像もあるが、なんだかシュヴァンクマイエル に近いものを感じた。

奇妙なこの空間が広そうなの
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人間の証明(1977年製作の映画)

3.6

生き抜くとはどういうことなのか。
今の生活を守るため、今近くにいる子どもを守るため、過去を背負わないこと?
なかなか面白い内容。警察である松田優作の過去も重なり物語は急展開していく。これ、担当警部が別
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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

3.8

「この世に同じものなんてないわ
私はいつもどれが好きか選ぶの
なぜだか分からないけど」
柱を見ながらトリスターナが言った印象的だった台詞。

何も知らないようなまだ少女だったトリスターナの成長、老い、
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書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.0

破天荒とはこのことか。
一家をとりまくストーリーに、世の中を写しとったような話だった。
天井桟敷のメンバーで作り上げたとのこと。演技の上手い下手という次元ではなく、別のパワーを感じた。

なんだかとに
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狂った果実(1956年製作の映画)

3.1

まだ性に対しても恋愛に対しても未熟な春次が、エリという女の子に出会い惹かれていく。どこから見てもふたりは恋仲。上手くいっているように見えていたはずが、歯車が狂っていく。

石原裕次郎の嫌な演技っぷり、
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幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)

2.2

ああ、名作ともなると映画を観る前から名シーンを自然と知っていたため、感動が薄れるのが残念。

高倉健がひたすらかっこよく、桃井かおりは可愛らしくて、武田鉄矢は愉快!
ちょっとした和製ロードムービーとい
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反撥(1964年製作の映画)

3.6

オープニングのかっこよさ。不安そうな目の上を斜めに流れるスタクレが新鮮だった。

性というものを受け入れられるのはいつだろう。今だって、時として不信感を抱くことはある。いや、色んなことを考えたら嫌にな
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陽炎座(1981年製作の映画)

3.2

こちらまたも、幻なのか現実なのか、嘘なのか本当なのかわからない世界。惚れた女性を一心に追う松田優作にもうっとり。

また、カメラカットがやはり面白い。回想と現実が同じ枠にあったり、ちょっと舞台のような
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殺しの烙印(1967年製作の映画)

2.6

次から次に様々な技法による実験的な映像が、観ている者を飽きさせない。

どんなに危機でも"めし"を求める宍戸錠。

セックスシーンも殺し合いのシーンもコメディタッチに描かれているので、気軽に楽しめる。
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

3.7

テンポよし。間がよし。
だからといって全く愉快な話でない。
歌舞伎の"ツケ"のような切り替えで場面が流れていく。

骨のづいまでくすぐったくなるような、エロさと艶めかしさ。視覚的にハードなものはさほど
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

坂本龍一もボウイも美しさ際立つ作品だった。

が、しかし、名作と期待していただけに…なところもある。
戦争というものの背景を切り取ったと思えば、知らない一面を見ることはできる作品だった。

組織の一部
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吾輩は猫である(1975年製作の映画)

3.2

テンポの良いやりとりに楽しげな会話。言葉も弾み愉快な登場人物たち。その横には、ネコがいたりいなかったり。

ネコの気性を実に上手く切り取った内容だ。聞いているのか、聞いていないのかわからないネコにたま
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東京オリンピック(1965年製作の映画)

3.7

映像美がすごい。

本当にドキュメンタリー?と思うくらい、撮れ高がすごい。瞬間を逃さないというのか、ドラマチックだし、
華やかな場面はもちろん、スタッフの舞台裏も映しているのに、製作者の愛を感じる。ま
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お早よう(1959年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「無駄があるからいいんじゃないかなあ
世の中」
「あんまり世の中便利になると、かえってあきまへんですからなぁ」

テレビや洗濯機が流通しだした頃の話だが、
この内容は今見たって色褪せない。

テレビが
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ユメノ銀河(1997年製作の映画)

2.7

恐怖心がいつの間に恋心に変わるのって少しわかる気がする。何かに対して気にすることとは、いつのまにかそればかり注意が向いているわけで、心がとらわれてしまう。また、そのミステリアスな雰囲気に惹かれたりもす>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.4

小津さんの名作というわけで、観忘れていたのでやっと。

嫁に行く娘との別れを惜しみつつ、送り出す話。平気なふりをしながらも、やっぱり寂しそうな様子には、こちらまで感情移入し少しうるっときてしまった。
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

2.7

ストーリーはシンプルなのに、引っかかるシーンが多い。

「家族」とは一体なんだろうか。
自分の役割を果たすこと?それを導くこと?
子どもは成績が良くないとダメなのか?
親は、自分のために生きちゃダメ?
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ひまわり(2000年製作の映画)

2.2

『贅沢な骨』をみて、行定 勲監督×麻生久美子だ!と思い鑑賞。
が、期待とは、違う方向に。ちょっとコメディチックな部分とロマンチックな部分の合わせ方に好感が持てずだった。
今聴くとトレンディに感じてしま
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もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

3.5

待ってました!チャーリー・カウフマン。

不穏な空気のつづく映画、決して気持ちよく終わる結末ではないけれど、考えるものがある。
言葉にするのは難しいけれど、たくさんの解釈があってよいのではないだろうか
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贅沢な骨(2001年製作の映画)

4.3

全体のトーンも全部好きな世界観だった。
色とか雰囲気とか台詞とか。

売春婦のミヤコはウナギの骨が喉に引っかかっているという、物語はそこから始まる。同居しているサキコ。そして、売春の仕事で初めていくこ
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恋の門(2004年製作の映画)

1.8

松尾スズキってこのごっちゃ混ぜな感じあるよな、と。それが前面に出た内容。
松田龍平の石に漫画を描く役よかった。

あと、見どころといえば、ちょい役で大物がたくさんでている…。これは松尾さんの人柄なのだ
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溺れる魚(2000年製作の映画)

3.2

はちゃめちゃだけど、面白かった。堤幸彦監督ワールド全開。
仲間由紀恵の大食い姿は、『TRICK』と少し重なるキャラクター設定だし、『スペック』の戸田恵梨香演じるトウマにも似てる。
また、椎名桔平。堤さ
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MEMORIES(1995年製作の映画)

3.6

場面を盛り上げる刺激的な音楽は相変わらず。今聴いても古い感じがしない。三作品とも、それぞれ面白かった。
そして、全作品、最後の結末についてはこちらに任せるような終わり方。こちらの想像に任せたようなつく
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天才スピヴェット(2013年製作の映画)

2.4

才能を持った少年のちょぬとした冒険物語。さすが、『アメリ』の監督。登場人物はみなちょっと風変わりで個性的なキャラクターが立っている。たまに入る編集された映像もコミカルで可愛らしい。
学校の先生が正しい
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