chanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

chan

chan

映画(598)
ドラマ(2)
アニメ(0)

二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.0

陸前高田を訪れる4人の若者たち、体験者から非体験者へ、語りを聞き、伝え、語り直すという反復。ありったけの想像を巡らせ、編み出した言葉も違う気がする、それは到底理解し得ない他者の記憶に寄り添い続けたいと>>続きを読む

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.0

月から金まで働いて疲労MAXの状況でしたが274分集中力途切れず最後まで観れた。立場や違いを越えて本音をぶつけあうガチトーク、すべて市民の声に耳を傾け根深い問題に向き合う妥協のない姿勢、対話の道を閉ざ>>続きを読む

彼女はひとり(2018年製作の映画)

3.6

物語が進むにつれ行き場のない孤独の輪郭が見えてきて引き込まれていく。安易な気休めや優しさが絶望に拍車をかけ、すべてを拒絶しながら破壊へと暴走していく彼女がたどり着いたラストまで研ぎ澄まされた脚本。福永>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.5

昭和史に残る未解決事件を題材に描く社会派ミステリー。35年前の謎を追う新聞記者、事件の真相に迫る中で浮かび上がってくる濃厚な人間ドラマは、どこか「砂の器」を彷彿とさせる。エンタメとして切り込んだ作り手>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

3.7

本当の言葉を胸に押し込めているうちに、何を大切にして生きているのか、自分でも分からなくなってしまうときがある。言葉に誠実であろうとして、自分も他者も傷つけてしまうぐらいなら話すことなど無意味だ、けど人>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

3.9

24時間以内に子どもが欲しい!と訴える女とあらゆる手段を用いて話をはぐらかす男の"ああ言えばこう言う"の罵倒合戦、終いには互いに口を利かないと言って本のタイトルで貶し合う破茶滅茶さだけど、遊び心満載で>>続きを読む

トゥルーノース(2020年製作の映画)

3.9

北朝鮮の強制収容所での家族の姿、過酷な生存競争の中で良心を失い、生きる為の手段を選ぶ余裕すらない地獄。それでも人は生きる意味を見出すことができる、尊厳に満ちた神々しいまでの精神と人間の可能性に心震え「>>続きを読む

ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.9

20代〜40代までを演じる森山未來さんのビジュアルも驚きだけど、大人になるにつれて増していく喪失感みたいなのが全身から出てて凄い。コロナ禍で暮らし方が変化した今だからこそ、あの頃の懐かしさや、当たり前>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.0

冒頭からかなりテンション上がりました。壮大なスケールで描きつつパーソナルな視点にも踏み込んでて、それぞれが自分の生き方を模索する旅でもある。分かり合えない部分にどう折り合いをつけるかっていう人間臭さも>>続きを読む

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

3.5

チャーミングで奇妙な生き物たちの造形美が拝めて満足。人間の醜さや欲望といったダークな部分もあるけど、悪戯っ子で所々ピュアな一面を覗かせるピノキオがとにかく人懐っこくて可愛いいし、改心して成長していく姿>>続きを読む

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.0

これは虚構だと信じたくなるほど肉薄した生々しい映像に言葉を失う。ある事件を皮切りに次々と明るみになる国家ぐるみの腐敗、それに対峙する記者達と市民の良心と真実を直視する信念のみが救い。どうしてこうも腐る>>続きを読む

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)

3.8

「私が幸せにしてあげる!」の力技でグイグイくる展開に戸惑い気味だったけど、それを突き抜けてくる純粋でストレートな想いと巧みなシナリオも相俟って心が浄化されていく。壮大で爽快な近未来のSF青春ミュージカ>>続きを読む

ビースト(2018年製作の映画)

4.0

衝撃の胸糞悪さに感動と興奮が収まらない。裏切り、欲、疑心暗鬼、己の正義は揺らぎまくり、情緒不安定で毛穴から冷や汗が噴き出まくる。終始続く緊張感と緊迫の演技合戦、猟奇的殺人犯のインパクトも申し分なし!己>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.9

9.11の首謀者の一人として拘束され一度も起訴されることなく収容所生活を強いられ続ける男。テロへの"正義の鉄槌"の名の下に歪曲される真実、繰り返される尋問、塗り固められた記録。これが実話なことに震える>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.1

老いとともに記憶が失われていく混乱を疑似体験したかのような錯覚を覚えて恐ろしかった。疑似体験といえば「サウンド・オブ・メタル」も凄かったけど、自分の中の映画を観ることで得られる体験の幅が、この2作でグ>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

3.8

お金に困って思いついた計画は思わぬ方向に転がり始め"こんなはずじゃなかったのに〜"と泥沼化していく。その場の感情や欲望に駆られ冷静さを欠く姿は滑稽で子供じみているが、誰しもが持ち合わせている本質的なも>>続きを読む

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

3.8

生活に困窮し娼婦となるナナ、夢も希望もない彼女は言う「話すことは無意味だ」と、老人は答える「言葉は愛と同じ。それなしには生きれない」そしてまた「話すことは、話さずにいる人生の死を意味する」と。彼女は探>>続きを読む

光を追いかけて(2021年製作の映画)

4.1

過疎化による閉校が間近に迫っているという事実がすべてに効いてくる。失われゆく運命にどう抗うか、過ぎ去った時間が戻らないなら"今をどう生きて何を残すのか"。ストレートなメッセージと捉えたけど、光を追い求>>続きを読む

ロストパラダイス・イン・トーキョー(2009年製作の映画)

3.3

兄と弟とデリヘル嬢、偶然から始まる共同生活、生きづらさを抱えながらも現実と向き合い、肩を寄せ合って懸命に生きる姿。夢のアイランドを追う姿が儚いけど、ファンタジー要素も混ざり合い温かな光が差し込む優しい>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

3.8

連続殺人犯、榎津巌の人間像、犯行と逃亡の軌跡。息を吐くように嘘をつき躊躇いもなく人を殺める、その顔に苦渋はない。生まれながらの悪人なのか、物語は主観的な目線を省いて淡々と進み、一欠片も理解する余地が与>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.8

ルールなんか捨ててしまえ、と言わんばかりの自由奔放さ、死に急ぐフランス男と欲望に生きるアメリカ女、絶妙に噛み合わない会話劇に分かり合えない虚しさ。斬新さをそこまで感じれなかったけど、即興によるものか、>>続きを読む

燃えよ剣(2021年製作の映画)

3.7

駆け足ながらも幕末動乱の時代に翻弄されながら己の信念と忠義を貫く生き様と葛藤が伝わってくる、表情がよかった。火花散る殺陣も見応えあり、岡田准一さんは流石でしたが、見入ったのは山田涼介さん演じる沖田総司>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

4.0

国鉄蒲田操車場で発見された扼殺死体、わずかな手がかりを頼りに捜査を続ける刑事。謎が謎を呼ぶ先の見えない序盤だけでも興味をそそられるが、物語は壮大な音楽とともに動機をめぐる圧巻の人間ドラマへと。生まれて>>続きを読む

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

3.8

1995年、ボスニア紛争末期に起こった集団虐殺事件の全貌と家族を守ろうとした一人女性。惨劇のあと彼女は残る、癒えることのない傷と悲しみ、言い表せない憎しみと怒りを抱えながら今も生きている人々がいるとい>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

3.8

可愛い、苦しい、可愛い、苦しい...山田杏奈さん演じる愛に感情移入はできなかったけど、どうしようもなく愛おしくなりました。はじめての感情にどう折り合いをつければいいのか、思春期の3人が織りなす歪で今に>>続きを読む

走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015年製作の映画)

3.5

大切な人との死別を受け入れることなどできないかもしれない、何がしたいのか、どこに向かえばいいのかもわからない、絶望に追いつかれない速さで、彷徨いもがく。「四月の永い夢」よりも真に迫った印象。温かく包み>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

3.8

"覗く"という優越感に浸っていると物語は思わぬ方向へ。身動きができず、限られた空間の中での出来事だけど、ラブロマンスあり、サスペンスあり、人生もありで、シンプルだけど盛りだくさんで面白い!確かに計算さ>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.1

好きについての考察だったり、その人のことを知れたから嫌いになることができたり、いなくなるってことはいたってことだったり、人と人との絶妙な距離感や独特な空気の笑い、今泉監督の世界観が詰まった心地よすぎる>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.0

戦闘シーンは凄いとして、異なる三視点からあぶり出される真実に強烈なカウンターパンチをくらいました。主観で物事の見え方が変わる、独善的なものが生み出す害悪をこれでもかと見せつけられガクブルです。"本当に>>続きを読む

最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.4

フッと笑える日常から血生臭い非日常へ、ゆるーい感じとキレキレのアクションが混在する殺し屋ドキュメンタリー、斬新で安定の面白さでした。相変わらず愛すべき殺し屋たちのキャラが濃い。本年公開の阪元監督4作品>>続きを読む

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.3

思春期における居場所や自己の確立に付き纏う不安や葛藤に寄り添う優しさ。ちゃんと自分の心に折り合いをつけながら他者と向き合い、そして丁寧に言葉を紡いでいくことって難しいし、時間もかかりそうだけど、とても>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.5

壮大な世界観に興奮するも、間延びのせいか、等身大の青年が大きな宿命を背負う重圧や葛藤といった部分に感情移入できず。"いよいよ、ここから!"で終わるので後半への期待に胸が膨らみます。ポール演じるティモシ>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.2

難聴に陥る主人公になったかのような聴覚体験も凄いのだが、思った以上に依存症の回復施設の話で驚いた。回復ステップを繰り返す日々、社会に取り残され時間が過ぎ去っていくことへの焦りや苛立ち、絶望がリアリティ>>続きを読む

麦子さんと(2013年製作の映画)

3.5

単調なストーリーではあったけど、途中ぐらには、観てよかった満足、と思えるドハマりの映画でした。素直になれなかったこと、物悲しげな背中、手料理、後悔と涙。面影を追いかける麦子ちゃんが、再会と出会いを通し>>続きを読む

恋の罪(2011年製作の映画)

3.5

心に渦巻く満たされない何か。どこかに救いを求め彷徨い迷路に入り込むも、それは出口のない地獄か、はたまた抑圧からの解放か。表の顔と裏の顔、人間の暗部をこれでもかと抉り出す過激な描写に理解が追いつく隙を与>>続きを読む