くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価 - 27ページ目

くろいひと

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ロープ(1948年製作の映画)

4.0

倒叙もののミステリー。
動機などはどうでもよく、観客の目に見えているものがすべてという徹底した作品。
それにしたがい全編ワンカット(本当は違うがそれを装っている)で、物語上の時間進行と映画の時間進行と
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汚名(1946年製作の映画)

3.9

ドイツ系のヒロインを演じるにぴったりなイングリット・バーグマンの代表作のひとつとも言える作品。

スパイ映画としてのサスペンスもさることながら、バーグマンとケイリー・グラントの複雑な関係もていねいに描
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白い恐怖(1945年製作の映画)

3.3

イングリット・バーグマンの魅力が、もっとも自然に発揮された一本。
グレゴリー・ペックの無実を信じて行動する彼女の献身的な美しさ。

夢のシーンでサルバドール・ダリが監修に加わっていることで有名で、たし
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疑惑の影(1942年製作の映画)

3.4

作品全体のテンションはけっして高くないが、叔父のチャーリーと姪のチャーリーのふたりの距離と立ち位置が刻々と変化するさまを楽しめる秀作。
列車でのクライマックスはいつものヒッチコックとは一味違った面白さ
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逃走迷路(1942年製作の映画)

3.0

冤罪による逃走劇というおきまりのパターン。

ラストの「自由の女神」での緊迫したシーンの面白さと、プリシラ・レインのひときわプリティな美しさには一見の価値あり。

断崖(1941年製作の映画)

3.0

ジョーン・フォンテインの美しさが印象的。
だんだんとハラハラさせる展開はヒッチコックならではだが、ラストはもうひとつひねりを期待してしまうのもたしか。  

白く不気味に光る牛乳。
白黒映画ならではの
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レベッカ(1940年製作の映画)

3.3

そこにはいない存在であるレベッカが支配する不思議な磁力のなかで繰り広げられるサスペンス。

ローレンス・オリヴィエとジョーン・フォンテインの名演もさることながら、ダンヴァース夫人を演じるジュディス・ア
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バルカン超特急(1938年製作の映画)

3.9

初期のヒッチコックのなかでは群を抜いて面白い傑作。

ヒッチコック作品の典型がすべてつまっているだけでなく、スクリーンを見ているこちらの記憶や認識まで自信がなくなるほど、その巧みなつくりに引き込まれる
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三十九夜(1935年製作の映画)

3.0

無実の罪で追われる男の逃走劇という、典型的なヒッチコック作品。

肝心の核心になる部分がひじょうにユニークで、有名なある映画でも使われている。

邦題の『三十九夜』はいったいどういうつもりでつけたのか
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皆殺しの天使(1962年製作の映画)

3.6

オペラのあとに集まったブルジョアたちが、食事が終わっても「なぜだか帰れない」状況になり、わけもわからず一室に閉じ込められるという作品。

命の危険さえ覚える極限状態のなかで、しだいにあらわれてくる生の
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アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

3.6

映画というよりも、映像をつかったシュールレアリズム美術の実験というべき作品。

わずか17分のあいだにあらわれる、意味のはがれた不気味なものたちのつらなり。
見るものに「ものがたり」や「意味」を追うこ
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グランド・ホテル(1932年製作の映画)

3.6

ひとつ屋根の下で、幾人もの物語がすこしずつ絡み合いながら進行していく、いわゆる「グランドホテル形式」の原点となった作品。

なかでもジョン・バリモアのワザと、ジョーン・クロフォードのモダンな美しさが印
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独裁者(1940年製作の映画)

3.6

独裁者ヒンケルとユダヤ人床屋の二役を演じわけるチャップリン。

これでもかというヒトラーへの風刺と平和への切望を訴えながら、それでも過剰に政治的にならないのは、チャップリンの見せる「芸」があまりに見事
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チャップリンのニューヨークの王様(1957年製作の映画)

2.9

チャップリン晩年の作品。

ところどころに往年の芸を見せてくれるが、ぜんたいにテンポが悪く弛緩したシーンが多いのが残念。

なにより「赤狩り」に染まるアメリカの負の部分を強調するあまり、チャップリン自
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ライムライト(1952年製作の映画)

4.3

なんど見ても涙してしまう、老いた芸人のせつない物語。

その見事なストーリーもさることながら、入れ子になった現実と回想や空想の構成の素晴らしさは、まさにこの映画そのものを「夢」のようなものだと思わせて
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チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

4.2

チャップリンのドタバタ喜劇を期待していると肩透かしをくらうが、コメディの天才によるシリアスな名作であり、全体の完成度は高い。

ここかしこの「技」に笑わされながら、狂気が日常化した世界にはまってしまう
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街の灯(1931年製作の映画)

4.0

美しくもあまりに残酷なラストは、映画史のなかでも屈指の名シーン。

サイレントだからこそ、盲目のヒロインとチャーリーとのまさに「言葉にならない」恋が、これほどまで見事にえがけたのだと言える。

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

3.7

ここかしこにチャップリンらしいテンポのよいシーンがあり、どこを切り取っても単発で見事に笑わせてくれる。

冒頭の流れ作業、終盤の「ティティナ」のシーンなどは不滅の面白さ。

しかし、このころから露骨に
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チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

3.5

靴を食べるシーンで名高い名作。

このころはまだ物語性よりもひたすら動きそのものの面白さが前面にあり、そのテンポのよさを堪能できる。

ニノチカ(1939年製作の映画)

3.0

全体的によく考えられたプロット、セリフなど脚本・演出面ではいまなお古さを感じさせない見事なつくり。
ただ、肝心のグレタ・ガルボが共産圏の女を見事に演じてはいるのだが、そのぶん彼女の魅力がうすく、共感し
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青髭八人目の妻(1938年製作の映画)

2.8

クローデット・コルベールのキャラクターをいかしたテンポのよいコメディ。

ゲイリー・クーパーとの掛け合いも胸がすくほど面白いが、エンディングにむかってあまりにも妻の夫に対する態度が「計略」とはいえいさ
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天使(1937年製作の映画)

3.7

おしゃれなおとなの映画。
扉を効果的につかった演出、窓越しに部屋のなかを流れるように見せていくカメラワークなど、ルビッチ一流のスタイルを堪能できる。
公園のベンチのシーンでは、消える女とそれを追う男を
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メリィ・ウィドウ(1934年製作の映画)

1.8

モーリス・シュバリエのダニロの素晴らしさは申し分ないが、脚本と演出に難あり。
ルビッチほどの巨匠にしてこの出来は残念。
救いようのない浅いメロドラマになってしまっているが、オリジナルであるレハールのオ
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.0

『アンタッチャブル』をはじめとして、後世あまたのオマージュを生むことになる有名な「オデッサの階段」の緊張感あふれるシーンは、いまなおその素晴らしさを失っていない。
よく使われるショスタコーヴィチの交響
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.3

ドイツ表現主義まっしぐらのデフォルメされたセットにメイク。
歌舞伎的とも言えるもの言わぬ俳優の顔の表現の見事さ。
なんといってもすべては○○○であったという、メタ構造をもつどんでん返しのラストは、映画
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國民の創生(1915年製作の映画)

3.3

あまりにも有名だが、過激な人種差別的な思想が前面に出ていることにより内容的にマイナスな評価を残念ながらうけている。
純粋に映画としてみれば、技法的な面での数々の功績、クライマックスへ向かう構成の見事さ
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大列車強盗(1903年製作の映画)

2.7

西部劇映画のはじまり。
物語性がはっきり見えるというだけでなく、見るものをハラハラさせながらひきつける工夫もあり。

そこへ最後は撃ちますかと。

月世界旅行(1902年製作の映画)

3.0

明確なストーリーをともない、作り込まれた「場面」をつなげてひとつの映像作品にしたという意味で、まさに「映画」のスタートに位置するもの。
下手をするとたんなる「コメディ(軽演劇)のスタジオ収録」になりか
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工場の出口(1895年製作の映画)

3.0

人々の「動き」の臨場感という意味では『ラ・シオタ駅』よりもこちらのほうが面白い。

水をかけられた散水夫(1895年製作の映画)

3.0

コメディ映画の原型と言ってもよいミニコント。
この間と動きで笑わせるには写真や絵ではなく、動く「映像」という表現方法しかなかったという意味で必然的な作品。

ラ・シオタ駅への列車の到着(1895年製作の映画)

3.0

画面奥から手前へ向かって到着する列車と、乗降する人々を撮っただけという映画だが、駅の活気がそのままみごとに記録されている。
その後映画史において「画面に動きをあたえるもの」として列車が繰り返しつかわれ
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