Damianさんの映画レビュー・感想・評価

Damian

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シングル・オール・ザ・ウェイ(2021年製作の映画)

4.0

こういう話、昔ラブコメで観たような、、とか思いつつ、それが当たり前のように同性同士に置き換えられていることにまず当事者として胸が熱くなる。
大袈裟でも悲劇的でも無く、間違いなく人生で一番肩肘張らずに観
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.8

決して許されない嘘と彼のおかれた境遇が終始せめぎ合っていて、なかなかに息が詰まる作品。
学校で存在を認められること、片想いしていた人と結ばれること、理想の家族像を味わうこと、一見幸せに溢れたサクセスシ
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.3

何もせずただじっと静かにしていること。

これが意外と難しい。
自分の毎日を見返しても、ついつい隙間が空くのを恐れ、何かで余白を埋め、傷は見えないように覆ってしまう。
誰かに置いていかれるのが怖いから
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.1

あと10分で今月一番大きなプレゼンがある。

乾く口、速まる鼓動、まとわりつく手汗。
何度イメージトレーニングしても失敗した時の自分がチラつく。
押し寄せる大波に立ちすくんでいた時、私は前日に観た映画
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.9

正直得意なジャンルでは無いのだが、悪趣味な笑いの中にちゃんと社会風刺も忍ばせていてそこはさすがジェームズガンだな〜と。
あんなに気持ち悪い映像をたくさん観たのに不思議と爽快な帰り道。

奇しくも今某メ
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.5

ジェンダーを考えるとき、「女らしさ」の裏には「男らしさ」の問題も潜んでいる。
映画の中での「男らしさ」と言えば白人で、権威を持ち、身体的に秀でてる(イケメンとかマッチョとか)といったステレオタイプな表
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.5

これまで観てきたヤクザ映画は、暴力の美学とホモソーシャル的な男の友情に溢れていてある種その生き方を肯定するものが多かった気がする。
だからこそ、驚いたし、動けなくなった。
ここまでヤクザと人権、そして
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.9

イビツだけど美しい愛の形にくらくらした。

お姉さんの全知全能マネージャーみたいな佇まいが好き。
静かに畳み掛けてくるメインテーマの曲もめちゃくちゃ良いな〜〜

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.9

その時代と、その場所と、そこで生きる女性以外は全て排除されたようなとても純度の高い作品だった。
劇中で使われる2曲以外はほぼ無音、しかもその2曲のパンチが凄まじく、美しくも儚い情景とともに帰り道も残像
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.9

原作の伝記的な内容を映画ならではの表現で綺麗にまとめており、とても見やすい印象。
逆に言えば原作にある韓国ジェンダーの史実や読み終わった後の絶望感は比較的マイルドに描かれているため、是非理解の補完とし
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僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

2.9

全体の雰囲気や主要キャストの演技は悪くないのだが、いかんせん奈緒演じる僕の好きな「女の子」の魅力が全く分からず、終始一歩引いたまま鑑賞してしまった。
劇中でもその言動は小悪魔、ビッチ、変なやつと揶揄さ
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.0

人生にどこか孤独と迷いを感じる二人の男女が、異国の地〈日本〉をさまよい、自分と世界を模索する。
美しくもどこか排他的な日本の景色と絶妙な距離感で隙間を埋め合う二人の関係性がとても良かった。

物書きと
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マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

4.2

予告編を観て、てっきりマキシムからの矢印主導で進むかと思いきや、序盤はガッツリマティアスの葛藤に時間が裂かれていて驚いた。
ストーリー自体はある意味一般的なのだが、こうした大胆な切り捨てや、あえてシー
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.6

少女二人のシーンが抜群に好きだ。
特に裕福な家庭に生まれたりんの閉塞感を一果の成長と並行して描くことで、幸福と裕福は決して比例しないことを感じせ、作品に奥行きが生まれていた。

結果として、一果とりん
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フェアウェル(2019年製作の映画)

4.6

物語自体は、あらすじ通り祖母の最期を巡る家族のお話なんだけど、想像以上に文化とアイデンティティの問題を多層的に掘り下げていて思わず唸ってしまった。

作品の軸となる「嘘」もそうだけど、生きる場所や時代
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思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.9

北村匠海の自主的な応援上映にでも行くか〜と初めは不純な動機で観に行ったんだけど、いや、意外によくできてる!
意外って言ったら怒られそうだけど、甘酸っぱめの邦画はどうしても避けがちだったので、脚本と演出
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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.2

映画ファンなら思わずおおっ!と声が漏れてしまう生唾もののシーンが満載。
そして、その全てが「映画音響」というテーマで繋がっているのも、なおさら興味深いところ。
劇中で映画音響の最前線に立ってきた彼らは
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.8

スリービルボードに続き、またもやオレンジジュースに泣かされる一本。
そのうちオレンジジュースを差し出すことが誰かを受け入れることのメタファーになったりして。

彼らにとってはスケボーはもはや言語の一つ
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ハニーボーイ(2019年製作の映画)

3.4

今年はルーカスヘッジズ祭りと言わんばかりに出演作が軒並み日本で公開されている。
華やか、というよりかは噛めば噛むほど味が出るスルメのような存在感で、苦しみを内に秘める繊細な青年役がめちゃくちゃハマる。
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.2

高校最後の夏。
野球部の応援のため、嫌々訪れたアルプススタンドの端っこで展開される異色の青春映画。

スクールカーストがテーマであり、
学校中のヒーローは会話だけで描き、
高校生が自分
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

4.0

何気ない週末。たまたまバーで出逢った2人の二日間だけの物語。

この世界にいると一時の関係なんて腐るほどある。特にこの2人のように価値観が全く違うとその可能性は尚更だ。

でも、それでいいじゃない。
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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

3.8

日曜の夜に頭を空っぽにして楽しめて、よし来週も仕事頑張るか〜と前向きになれる映画を「サンデーナイトムービー」と呼んでるんですが、本作はまさにその王道の一本。

後半にかけてご都合主義な展開も感じてしま
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.8

上の兄弟が進学で家を出た後、途端に母親との距離感がつかめなくなった時の記憶が蘇ってきた。
さっきまで話したいことがあったのに、いざ話し出すと無性に苛立ってきて、いつの間にか何で話をしたかったかかも思い
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彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

4.4

登場人物一人一人の少しいびつな個性が、ありふれた高校生の日常に溶け込んでいることが何よりも素敵だ。
特に大きな事件が起こるわけでは無いけれど、彼らの生きる世界はいつだって眩しく、そして少し濁ってる。
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

4.0

これまでのマーベルの中でもかなり文化的側面が強い一本。
映像、音楽、衣装、キャスト、フォント全てが強めの癖で絡まり合い、新たな英雄の誕生を確固たるものにする。
女性の役割も印象的で、ハリウッドの荒い鼻
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坂道のアポロン(2017年製作の映画)

3.4

漫画原作を忠実に実写化すると、どうしても構図や会話のテンポが嘘くさくなって、げんなりしがちである。

そういう意味では、かなり原作に忠実で綺麗にまとまった印象の本作。なんとか、なんとか耐えてはいたけど
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

4.4

他のピクサー作品と比べても、魅力的なプリンセスとか愛くるしいキャラクターとかが出てくるわけでは無いし、舞台もメキシコとなかなか玄人感のある設定なので、一見地味な印象はあり。
お祭り騒ぎが売りのアナ雪番
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エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方(2015年製作の映画)

4.0

どうしても自分に素直になれなくて、ついつい余計な一言を言ってしまう。その結果、周りを傷付けてしまう不器用さ。
話もキャラクターもかなりぶっ飛んではいるけど、この物語の軸が非常に愛情たっぷりに描かれてい
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.5

ダークファンタジー、という既成の言葉で片付けたくないほど、この作品独自の世界観が作り込まれている。
エログロが強調されて嫌悪感を示す人もいるだろうが、その描写抜きではこの美しく濁った深緑の世界を表現す
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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

4.4

実在のコメディアンが主演と脚本を兼ねているということもあり、台詞や魅せ方が非常にウィットに富んでいた!
彼女への愛を伝えるために持っていく3つのものとか、本当のエピソードなんだろうか。アプローチの仕方
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キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

4.0

前作の鑑賞後、生理的な拒否反応でグッタリしてしまったのでちょっと心配だったんですが、今回は随所のブラックジョークも微笑ましく観れました。
耐性がついたのか、エッジが和らいだのか分からないけど、それはそ
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私とあなたのオープンな関係(2017年製作の映画)

3.7

勝手にもっと甘ったるい作品を想像していたら、意外や意外、一つ一つの描写が繊細で美しい。
出会い系で恋に落ち、お互いの性生活も全てオープン、好き勝手やりまくろうぜという関係性も、個人的にはとてもリアルで
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.1

正義感の強いお母さんが国家組織に立ち向かうチェンジリング的な物語を想像していた僕としては、終始期待を裏切られ、
地に足がつかない気持ち悪さを抱えたまま
物語が進む感覚がありました。

誰かに感情移入し
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.2

前々からいい女優だなーと思っていた松岡茉優がその存在を確固たるものにした一本。
今年の蒼井優と並んで、尋常じゃない光り方をしていた。

映画としては少し間延びした印象もあったけど、でもこれほどの拗らせ
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南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

4.1

どうしようもない人たちの、やるせない日常を生活感たっぷりに切り取った一本。
決してテンポの良い映画では無いんだけど、その間から二人の暮らす生活の臭いが滲み出てくる。
邦画の魅力ってこういうところにある
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セント・エルモス・ファイアー(1985年製作の映画)

4.1

この映画を観て、誰に一番共感した?ゲームをする場合。
私は、ビリーとジュールズの身勝手さに苛立ち、ケビンの一途さと言葉の柔らかさにうっとりした。
決して悪いわけではないんだけれど、なんだか悔しい。
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