現代を生きるエロイーズと60年代を生きるサンディの時空を超えたシンクロと、それに伴って着実に現実を蝕んでいく悪夢。煌びやかな世界の裏に隠されていた数多の悲劇の存在を知り、憧憬が失望に変わった瞬間の絶望>>続きを読む
2015年、イギリスにて現存するポジフィルムが発見/修復されて現代に蘇った特撮作品。1935年の作品とは思えない程映像も音声もクリアで驚いた、「かぐや姫〜」と連呼する歌が強烈。
1984年、国家保安官(シュタージ)により厳しい監視体制が敷かれていた東ドイツにて、一人のシュタージが監視対象の劇作家と女優に共鳴し感化されていく物語。無表情の裏で少しずつ揺れ動く善の心、ウルリッヒ・>>続きを読む
吉原という閉じられた世界の中でしか生きることのできない女性たちの剥き出しの欲望と狂気。嘘で塗り固められたその世界で、大きな華を咲かせようと懸命にもがく生きる彼女たちの姿にただただ圧倒された。
ファム・ファタールの権化とも言うべき浮世と全てが無難で退屈で曖昧な辻。周囲に自己を委ねっぱなしの二人は接近と疎遠を繰り返しながら世間と向き合い徐々に自我を獲得していく、”社会的地位”よりも”世間の束縛>>続きを読む
一人の青年が無差別銃乱射という凶行に至るまでの過程を繊細に紐解いていく作品。探しても探しても”在るべき自分”に辿り着くことのできない孤独/恐怖が、淡々とした語り口を通して痛いほどに伝わってきた。そんな>>続きを読む
情緒不安定で癇癪持ちの男のパンチでドランクなラブストーリー。道端に置かれたハーモニウム、買い込んだプリン、意味の無かったものが意味を成していき偶然が必然となっていく、恋の喜びに満ちた瑞々しい作品だった>>続きを読む
時間が通貨であり余命が資産となる、文字通り”時は金なり”な世界の物語。時間(富)を独占する富裕層、格差を助長する歪んだ社会構造、かなり痛烈な資本主義批判の視点に驚いた。斬新な世界観は魅力的ではあったが>>続きを読む
棺のような木箱に閉じ込められたアメリカ人が脱出に挑む様を描いたワンシチュエーション・スリラー。ほぼ全編、狭小な箱の中だけで描かれるため常に閉塞感と緊張感が漂う。変わり映えしない映像でも観客を飽きさせな>>続きを読む
観る者の予想を裏切り続ける展開が何とも痛快で心地良い。『ベイビーわるきゅーれ』の大きな魅力の一つでもあった”ユルさ”は本作でも健在だが、過剰に狙い過ぎて若干滑っていたような気がしなくもない。
存在と評判だけは知りつつも、特に聴き始めるきっかけも無いままズルズルと触れずにきてしまったフィッシュマンズ。緩さと厳しさが同居した独特の雰囲気を醸す佐藤伸治の生き様に魅了され、圧倒された。売れれば売れ>>続きを読む
15年も前の作品とは思えないほど完成度の高いVFXと想像以上にシリアスで現実味のある語り口に驚いた。オートボットの華麗な変形シーンは圧巻。
原作ゲームが”プレイする映画”とも称されていた『アンチャーテッド』、待望の実写映画は素直に楽しい冒険活劇に仕上がっていた。終盤の空飛ぶ海賊船のチェイスシーンはとても斬新で迫力満点、満足。
15歳の男子と25歳の女性がダラダラと惹かれたり呆れたりくっついたり離れたりするだけのお話、意地と見栄を張り合う二人のまるで緊張感のない恋愛模様がとても素敵。70年代のロサンゼルスを疾走する二人の瑞々>>続きを読む
ロサンゼルス郊外に住む22人の日常を描いた群像劇。189分もの長尺とはいえ1人当たりの尺はそこまで長くない中で、ごく自然な会話や言動のみを通してそれぞれの性格や抱える問題を克明に浮かび上がらせる手際の>>続きを読む
傲慢で冷酷で強欲なダニエル・デイ=ルイスがあまりに愚かで人間味に溢れていた。ふとした瞬間の表情に垣間見える哀愁、愛と野心を両立することのできないもどかしさ。夢を叶えたからといって、大金を手にしたからと>>続きを読む
黒沢清のミイラホラー。安達祐実の怨霊がボコボコと穴が空きながら消えていくシーンと、豊川悦司が何とも情けない声を上げて湖に落下するシーンが良かった。「動けるんだったら最初からそうしろ」という豊川悦司の発>>続きを読む
ごく自然な展開の中に違和感なく前作のオマージュが沢山詰め込まれており、その構成の巧みさと潔さに感動した。尚且つ前作を観ていなくても充分楽しめる仕上がりになっている、完璧な続編。
トム・クルーズの初々しさと溌剌さが眩しい。要素の全てが王道で安心感&安定感、実際の戦闘機を使った空中戦は迫力満点。
直ぐに理詰めで相手を責め立て的はずれな論破を繰り返す男の愚かさ、相手より優位に立ってやろうという魂胆が丸見えでしんどい(恐らく無意識なのもタチが悪い)。時系列を入れ替えることで観客に天国と地獄を頻繁に>>続きを読む
一年ずつ過去へと遡っていくことで展開する恋愛ドラマ、”何故こうなったのか?”“過去に何があったのか?”を観客に想像させ、その後答え合わせをするかのように一年前へと遡る構成が巧い。何でもないある一日に限>>続きを読む
カナダの過激映像制作集団”アストロン6”による作品。徹底的にチープな美術が癖になる超B級映画、宇宙を滅ぼすほどのパワーを持つ怪物が8歳の少女(クソガキ)にパシられる画があまりにシュール。
初ピエル・パオロ・パゾリーニ。
『オイディプス王』を原作としたパゾリーニの自伝的作品らしい。終盤、続々と点と点が繋がっていく気持ち良さ、現代まで連鎖する業の恐ろしさ。
水没都市の幻想的な世界観は好みだったが、その設定がほとんど生かされていないのが残念、徹底的にラブストーリーなのでノーラン的SFアクションを期待すると危険。
苦学生の青年に息子を重ね合わせて仕送りを続ける渥美清の哀愁と不器用な愛情表現に心打たれた。心温まる人情劇、『父子草』というベタなタイトルも泣ける。
初五社英雄。
絢爛な衣装に身を包んだ女二人が手洗い場でびしょ濡れになりながら取っ組み合いをする画が何とも滑稽で良かった。閉じた世界の中で懸命にもがき苦しみ生きる芸者の哀しい人生には胸が締め付けられた。
初ホン・サンス。
一人の女性が三人の旧友と他愛もない会話を繰り広げているだけなのに何故か一切退屈ではない(カフェで横の人の会話を盗み聞きするのが地味に面白いのと同じ感覚)(悪趣味)、”韓国のロメール”>>続きを読む
「どうして宿題をやってこなかったのか?」という質問から始まる対話(ほぼ尋問に近い)のみを通してイランの教育システム/家庭環境が抱える問題を浮かび上がらせていく遣り口があまりに鮮やか。大人に抑圧され画一>>続きを読む
少年にとってこの一連の経験はどうしようもなく辛く苦いものとして残り続けるのだろうが、正直ただの自業自得であり因果応報なのでそこまで同情はできない、ただ彼がこのように狡賢く育ってしまった背景のことを想う>>続きを読む
話題の長澤まさみの件に関しては思っていた以上に下品で前時代的だったので大いに批判されて然るべきだと思ったし、画質のムラに関しても「???」が止まらなかった(CGの質感に関しては作品のコンセプトとしてま>>続きを読む
滅茶滅茶肌に合わなかった『空白』と似た匂いを感じてイマイチ食指が動かなかった本作だが思いのほか楽しめた、めちゃめちゃ『ゴーン・ガール』。
ナンパし、ナンパされ、振り、振られる男女をただ見つめ続けるカメラ、しかしそこに有るのは重々しい悲壮感ではなく軽妙さと瑞々しさで、その清々しいほどにあっけらかんとした空気感が観ていて心地良い。