松村北斗、抜群に透明な声。勉強不足を反省。不意打ちのロードムービージャンル。
原作では気に留めないのに実写で聞くとサスペリアの台詞がやけに浮く。蔵関連の美術の仕事、凄かった。座敷牢がひと目見て悍ましく思えるのって素晴らしい。
宮崎駿作品の木村拓哉、本当に良い。視覚のイメージを取り外されているだけではなく、声そのものに実に真摯な広がりがあるように聞こえる。
火事のシーンは誰の映画か判らなくなるほど作画が狂っている。高畑勲の遺>>続きを読む
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テレビ番組ほか映像製作の撮影現場で女性スタッフへ常套的に向けられるハラスメントの数々、ホラーのジャンルで強調して演出される機会が多い。
「四角い画面ですね」と川口春奈がさりげなく鋭い指摘を挿む。画角が>>続きを読む
馬車に乗ってやって来る死神。実体のないものとして現れるその姿は、視覚的なイメージの歴史においてまさに根源的な輪郭を伴ってスクリーンに登場する。鎌ってすごく重要な小道具。刈り取る形。
だるまの眼と魚の眼の映像が編集で並べられると、どちらも今にも動き出しそうなグロテスクな生の怖さが生まれる。赤い霧のような視覚的イメージと、疫病神の描線が赤い事実が重なる発想も面白い。コロナ禍(逆に自分>>続きを読む
オープニングタイトル、スタッフロールに重なる複数人の女性の呻き声や歌声、そして燃え上がるスペイン人女性の絶望の表情と断末魔。異常な恐ろしさ。
黒塗りの自動ドアの反射で切り返される主要人物の出会い、シリ>>続きを読む
「じゃじゃ馬で処女」のレティシアの顔面へ速やかにクロースアップされる下世話な視線。ベアトリスとエドワルドが踊りながら前景に文字通り踊り出てくるショット(割り込みが全体通してとても多い)。つっこみ不在の>>続きを読む
紛うことなき糞についての映画(誤解なきよう)。増水で漏れ出る厠の糞だまりなど、モノクロの糞の質感に驚いていると、一章の終わりにカラーで糞のアップが映り込みのけぞる。汲み取りをする池松壮亮の無表情のアッ>>続きを読む
マキタスポーツのボールペンのノック音が会話に橋をかける。スタジオで叫んだメンディーを見る白濱亜嵐と早見あかりの呆然とした顔をしばし、違和感が生じる程度長めに捉え続けるカメラ。切れ味鋭いショック描写連発>>続きを読む
娘の写真という死亡フラグが間を置いて2回も提示されて笑った。何気ないシーンの中で、恐ろしい速度でカットが割られていく箇所がいくつかある。今田美桜がわりかし序盤で幸せになり、屋外でガンガン見せつけていく>>続きを読む
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隣人宅に汚泥が流れ込みパーティーが台無しになるシークェンスへ至るまでの巧みな繋ぎ。娘と共犯関係にあるような母の他者への悪口のやり取りも心地良い。氷河を渡りながら着実にストレス源を離れ、ゆっくりと目に輝>>続きを読む
中国人の子供と協力して殺人鬼の手から必死で逃げ延びる盲目の娼婦。二人の設定だけで泣きそうになるが、とても温かい余韻に浸れる物語にもなっていて驚かされる。
イドリス・エルバの肉体の拡張も、それを全身で受容れるティルダ・スウィントンの肉体も実にエロティック。会話しているだけでお互いの肌に触れ合っているような感覚があった。ジョージ・ミラーが映画に信じるところ>>続きを読む
お尻側から引き抜かれて体に埋もれていく首の視点から中身を映す映像、初めて見た。訪問した瞬間に吹っ飛ばされたおばさんの顔面の肉の質感がかっこよかった。あの一瞬さも効いてくる。これだけ演出の上手い監督だか>>続きを読む
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2部作合わせて2時間半のエロティックサイコホラー、城定監督ならこの尺でもだれずに良作を撮れる。リベンジ方向にドライヴかかるとかと思いきや裏切られた。カラミのシーンはシリーズ通して少なめ。障子が焼け落ち>>続きを読む
フィールドワーク中の女子学生が歩き疲れてへたり込み、山道の奥から村の男二人がやって来てコンビニあるよと話しかけてくる。女子学生二人が立ち上がるとき、カメラはローアングルで、立ち上がった二人の下半身をじ>>続きを読む
閉じ込められる廃墟の窓から外の街の風景が見える序盤のショットは珍しい気がする、窓枠を閉めた瞬間に街の音が消えて静まりかえるのはゾッとした。館内に一瞬で霧が立ち込めるのも好き。エンドロールのあの日本語の>>続きを読む
サンドラ・ブロックがずっとどぎついピンク色のスーツを身にまとい、鬱屈とした感情のやり場のなさをスーツの中に押し込んでやり過ごし、大冒険にまきこまれ、終始元気よく暴れる。ひたすら楽しく見れる。
呪いの根源となる亡き人の遺品がなければお祓いが叶わない。そのため、後年生まれたその死に関する物語を供養するという発想、本当にそれしかやれることがなかったわけかと思わされて怖い。
1話目、オウムのギャグ>>続きを読む
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いしだ壱成まで登場するともう信じざるを得ない。
あの「手」の、その場に現前している感じ、触れたくなるあのテクスチャーは異様だった。
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明らかに年老いたモーションを見せてくれる殺人鬼に、後継者が勝手に生まれかけた最終章。凶行の連鎖にブーストがかかるシーンの若者たちの死にっぷりは華麗で無残、そこを見るだけでもいいぐらい見事。車と金網を用>>続きを読む
マーゴット・ロビーと遭遇するシーン、あの短さと、永遠を感じさせるほど現実離れした彼女の息づかいと構図の強さ、素晴らしかった。あのキュートなカリカリの宇宙人より遥かに人類を感じられない。
スカイプ(テレビ電話)を利用して自分が相手に対して勝手に抱いた距離感を、あたかも両者が作り出してしまった距離感みたいに演出して相手を騙そうとするやり口、やっぱり遠距離ってこうなるよねと勝手に決着つけよ>>続きを読む
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劇場で見れてよかった。トイレの花子さん回と同じ手法で、例を見ないほど疾走感に満ちた映像を楽しむことが出来る。個人的には、走り続ける最中に脈絡なく辿り着いた地下道のような暗い通路で、配信者たちの性被害の>>続きを読む
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男が男を産んで色々な意味における男の死を乗り越えようとする涙ぐましい男の努力など、心底どうでもいいもの。ヒロインの態度は然るべき無関心を貫くで正解。トラウマの発端となる出来事、最悪すぎる。
カメラは『イット・フォローズ』と共通点多し。上映時間は少し長く感じる。臨床心理学の信用ならないグレーな点を批判的に演出しているようにも捉えられそう。ソジー・ベーコンのバックグラウンド知らなくて後日驚い>>続きを読む
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窪塚愛流、浮世離れした輪郭の太い声色と、ぎこちなさも残しつつ伸びやかに動く体躯が非常に印象的で、自己演出に長けていると思う。スターの気質。画面上は肉体を持つ幽霊として、観客の視線を上手くかわしながら河>>続きを読む
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家族三人一緒にミンチになるクライマックスは壮絶で爽快、大変凄まじい。あまりに悲惨な事態が起きているはずだが、全員が与えられた役割を気持ちよく全うして向こう側へいってくれるため、少しも不快さがない。
小出恵介が居候を始める物置きのような部屋の暗さに懐かしさを覚えた。ミニシアターで働いていた頃にいつも身を潜めるように作業していた倉庫の暗がり。場内が暗転しても見知った誰かが席に居るという安心感を映画館>>続きを読む
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「行方不明」は心の整理がつかない。あの日を境に、我々により強調して再確認されるに至った事実。ビデオカメラの映像と居なくなった対象者の主観があたかも一致するという認識が大前提とされてしまうのには若干抵抗>>続きを読む
りゅうちぇるの演技、自己演出、とても素直に見えて好みだった。やり切れないが、この映画は非常にパワフルな効果を持っていて、境界線上をさ迷い苦しむ者を対岸へぽーんと蹴飛ばしてしまうような力があり、元気づけ>>続きを読む
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ハリウッドの同年代の映画監督たちと比べても、明らかに一人丸みを帯びることを避け、問題提起は一貫したまま表現が先鋭化しているクローネンバーグの待望の新作。『ソイレント・グリーン』のディストピアも彷彿とさ>>続きを読む
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禁断の大風呂敷。『ウィッチ』を見たときに感じた「その解釈で大丈夫?」と非常に近い不安はあるものの、外連味たっぷりに肥えた肉体ごと悪魔の足元へ前進するラッセル・クロウを堪能し、終始楽しく鑑賞。
自分が子供の頃は2作目までしか見ておらず、娘の世話をしながら何となく1→2→3と配信で流していたら、素晴らしい作品で驚いた。園の子供たちにぼろぼろにされるくだりは笑えるし(隠れてリアクションとるとかそ>>続きを読む