中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

中庭

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三十九夜(1935年製作の映画)

3.4

序盤の記憶ショーで乱闘が始まる経緯がよく分からず笑った。鶏の舌癌の原因を真面目に質問し続ける主人の滑稽さと紙一重の哀れさ。
死体の第一発見者となった婦人が叫ぶ無声のショットに、蒸気機関車の汽笛が重なる
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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ドレフュスを形上救った後の報われなさ、至らなさがポイントとしてあり、事実へ肉薄するために棄却されたであろうエモーショナルなシーンの存在に余韻を浮かべる。
突然道端で重要参考人が撃ち殺されるくだりの不意
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きさらぎ駅(2022年製作の映画)

2.1

このレビューはネタバレを含みます

「凄まじい速さで襲い来る老人」を笑わずに撮ることはおそらく無理。『スペル』の功績が思い出される。怪談の語りのスタイルとして、今後こんなJホラーが増えてくるのだろうか。

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

急上昇で谷を突き抜け、無人のミサイルに追われ始めるシーンの無音のBGM。本当に雄弁で印象的。ハングマンの張り付いた笑顔と落胆、最後の大活躍に拍手。トム・クルーズが人類を超えるシークェンスから幕を開ける>>続きを読む

心霊×カルト×アウトロー(2018年製作の映画)

2.5

呪いのビデオのテイストにセルフ・ドキュメンタリーと生々しい暴力の気配を漂わせて、本当に写ってしまったものを抽出させようとする壮大な実験。ヒロインが非常に魅力的で、登場する度に物語性を破壊するほどの生の>>続きを読む

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)

2.3

アマプラで日本中の視聴者がこの映画を好きなときに見ることが出来る時代。幼い記憶に焼き付いていた幽霊の姿は、決して今この作品を見たとて画面に再登場することはないのだろうと思う。

レディ・オア・ノット(2019年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

サマラ良い。やはり好きな女優。忌まわしき血族が子供まで一緒に爆散していくときのスカッとした表情。スニーカーが写るだけで演出される、関節の急な駆動のイメージ、躍動感があった。

恋するけだもの(2020年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

ばけもの二人が仲睦まじく歩くラストカットのために全てがあるような映画。バイオレンスと純愛のミックスは、ここまで人を引かせてついに成立するのかと興味深く見た。

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

1.6

閉じられたサーガをこじ開けて、不気味に重ねられる「伝説」の焼き直し。サーガとの距離感の解体に成功したとは決して言えなくとも、今後続くのか何なのかよく分からないあの終わり方は嫌じゃなかった。『バードマン>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

2.5

馬場ふみかの顔に始まり、馬場ふみかの顔で終わる。『恋するふたり』の2.5次元俳優の見事な存在感を思い出す。
倉敷のロケーションが素晴らしい。伊藤蒼真っ白。西野七瀬ははっきりと泣かず、平祐奈はワンカット
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ザ・ビーチ(2020年製作の映画)

1.7

終盤は、何が起きてるかよく分からない曖昧でぼやけた画面作りが続く。前後の距離感さえ不明瞭になる視界で、世界レベルで最悪の事態が進行していることを意識させるにはどうしたらよいか。

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)

2.9

ラブコメとパンクの決してひよらぬミクスチャー。孤独とたった一人の理解者、思い込みの奇跡が少しあれば愛し合う二人にパターンなど存在しなくなる。実家の地下室で、二人で録った音源の原型がただただ素晴らしく、>>続きを読む

マリー・ミー(2022年製作の映画)

2.7

ジェニファー・ロペスの鋼鉄ボディが俺たちのオーウェン・ウィルソンのナイーブな身体に迫り来る!最後恥じらいの視線を覗かせもう一枚メッセージカードを掲げた歌姫の魂の本気に心打たれた。

ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版(1991年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

日本の夏に見る平成ホラーの代表(あまりに個人的な発想)。子供がばっちり首を飛ばして死に、後で首をベースに未知の生命体化して蘇る。切り口から噴き出るあの鮮血の量と夜の調理室というロケーション。食器が立て>>続きを読む

残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

1.7

折り重ねられ原形を留めなくなる怪談の人類学的な怖さが売りとなる、ある意味脱臼されたジャパニーズ・ホラーの現代版。ふいに新築の玄関の自動照明が明滅する演出が良い。

N号棟(2021年製作の映画)

2.2

萩原みのり、危うくて脆さも併せ持つ、魅力的な俳優だと感じた。死への恐怖に取り憑かれていることが何の行動原理と関係するのかはよく分からなかったが、彼女のとる行動一つで映画ががらりと変わりゆく、そういう強>>続きを読む

ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007年製作の映画)

3.6

赤い風船の動線が幻想的で、登場する度にただ見入ってしまう素晴らしさ。子供がカメラの前で気が抜ける瞬間ってどうしてあんな魅力的なんだろうか。画面内に幾つも緊張と緩和が起こり、アクション映画と変わらないほ>>続きを読む

我が胸に凶器あり(1996年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

光石研の潔い退場に驚かされるのも束の間、怒涛の美ショット連発に面食らう、青山真治初期作。オートバイを使った、小回りのきかないアクションの、がたがたした盛り上がりが印象的。どのキャラクター造形も決まって>>続きを読む

アシャンティ(1978年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ヘリコプターでレスキューぎりぎりの(どうせ間に合わない)攻勢を仕掛ける展開が手に汗握る。子供たちを見捨てるか否か、途中縁のあった売られた子は救う葛藤がなくていいんかとか、気にならずに先を楽しめる。悪党>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

イルミナティのメンバーの顔、匿名性帯びすぎていて心配になったが、直後の阿鼻叫喚でこういうことねと大納得させられる。口を塞がれたヒーローの頭蓋骨が内部で炸裂し頭部が崩れるショットを見て「血が出なきゃいい>>続きを読む

KKKをぶっ飛ばせ!(2020年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

内臓食わせてオェッと言わせるくだりは2人しかいなかった劇場で声上げて笑わせてもらった。この映画、KKKとことん弱いのである。
兄の去り際は見どころ。主人公が序盤で何を着させられたかも注目。

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

「ベルイマン島」と名付けられたリゾート地は思いの外、死者の存在のイメージを欠いているように見えた。美しく空っぽな島で人生と恋愛の何たるかを考え、感じ抜く主人公たちは小さく、ショット内を自転車で移動すれ>>続きを読む

チンピラ(1996年製作の映画)

3.3

大沢たかおの柔らかく細い声の響きが、チンピラとカタギの境界をうろつく生の儚さに優しくマッチしている。映画自体も過剰さとナイーブさをさまよいながら熱を帯びた演出が繰り返される。
曇り空の下、平成の立体駐
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ラスト・ラン/殺しの一匹狼(1971年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

ジョージ・C・スコットが爆走するあらゆる土地の風景が、その景色の内包する歴史的な美を露わにしている。山岳を背景にした古き田舎の宿街、あまりに広い風の吹き荒ぶ緑色の高原、ロングショットでとらえられたジグ>>続きを読む

教授と美女(1941年製作の映画)

3.5

誰か一人欠けても特に振り返ることなく前に進みそうな教授の集団が見ていて楽しくて仕方ない。
白雪姫の枠組みの物語であるとの指摘を発見。なるほど。

レイクサイド マーダーケース(2004年製作の映画)

3.6

水中の遺体もそうだが、床に転がり皆に見下ろされる遺体の存在感が際立っている。あらゆる視線を折り返す女の動かない身体。フラッシュに怯える役所広司。

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

2.8

披露宴の集団的なざわめきから物語は始まり、ビルをかたどったケーキに細かく作られた窓の一つに薔薇が刺さっていて、そこから飛び降りた会社員が居るという。ぶつ切りに途絶える騒々しさ、環境音の配置がやけに印象>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

爆風で落下ベクトルの真逆に押し戻されます。クロエをこれからも応援しないと。
目立つようになった骨格を存分にさらして、最期は身一つでエイリアンをぶちのめしてくれる。序盤の銃座における閉塞感はスピルバーグ
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アダム&アダム(2022年製作の映画)

2.3

三角形のキャッチボールは唐突に終わる。マーク・ラファロはなかなかとらえ難い俳優の一人で、表情の強張りにいくつもの感情を乗せる自己演出をする人だと考えている。

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

2.8

ヘレンの家の汚さ、時間の止まった空気の澱みがいちいち目につきたまらなくなる。ヘレンの外見の造形も凄まじいものがあり、初めて親と食事をするシーンなどマゾヒスティックな演劇の刺激が何度も襲い来る。
ナレー
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キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2(1984年製作の映画)

2.9

明日城行くから今日はここで休息!とキャンプしてたら城からふわっと飛んできた敵にプリンセスを連れ去られるくだり、大好き。シュワルツェネッガーの筋肉は張りと柔らかさを兼ね備えているように見える。俊敏に駆動>>続きを読む

女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

河合優美のじと目もいつも良いが、南沙良の顔だけに頼らない奇人演技も申し分なし。公衆の面前に落ちてくる首を吊られた人間の動きと視線の交錯って本当に素晴らしい。

海底二万哩(1954年製作の映画)

3.8

潜水服の連中が行う水中の儀式、対決する巨大生物のサイズ感、ネモ艦長の悲しき佇まい。何年も繰り返し見ることが約束された冒険映画。

アネット(2021年製作の映画)

3.6

やっぱりミュージカル調のベッドシーンでしょう。行為そのものも直接的に撮ってる。これには目を見開かされた。それとアネットのコンサートのグロテスク極まりない表現。あの足場のグラデーションは笑える。ラストシ>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

2.8

キャスティング抜群。ブラッドリー・クーパーももちろん良いけど(ラスト・カットの演技は大したもの)、特に女優陣。作られた幽霊として、顧客の視界から物理的な距離感をとりながら現れるルーニー・マーラ。文字通>>続きを読む