唯さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

唯

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パフューム ある人殺しの物語(2006年製作の映画)

4.1

冷静に考えれば、殺すことなく匂いを手に出来るはずだが、彼はその仕方に考えが及びもしない(情報リテラシーの有無は育った環境によるところが大きい)。
愛し方も愛され方も知らない。
どんなに類稀な才能を与
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燃えつきるまで(1984年製作の映画)

3.0

まず、一般人が死刑囚に対して個人的感情を抱いてしまえる近さに刑務所があることがおかしい。
刑務所長の自宅は刑務所に隣接しているのか??

逃避行ものは、必ず終わりを前提としている。
向こう見ずに逃げ
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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1981年製作の映画)

3.5

「私はあなたのものよ。私たち二人だけなら」
見下されながらも妻の座を捨てられないのは、経済的にも社会的にも夫に養われて依存しているから。
行き場のない閉塞感を感じている主婦にとって、女として求めてくれ
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アルフレード アルフレード(1972年製作の映画)

3.3

恋愛経験が薄くて真面目で優しい人こそ、メンヘラに利用され弄ばれる。
メンヘラ女からしたら、自分のことだけを一心に見つめてくれる男が良いわけで。
そう考えると、自己肯定感が低い男なんてぴったりで。
こち
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バッド・チューニング(1993年製作の映画)

3.2

高校生の学園ものが映画になるのは、自我や自立心が著しく強固になる時期でありながら、まだ保護下にあることが障壁となり、あらゆる摩擦や葛藤がドラマとなるからだろう。
高校生の遊びや悪ふざけなんて、単なる暇
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最高の人生のつくり方/最高の人生の描き方(2014年製作の映画)

3.4

マイケルダグラスとダイアンキートン、偏屈なジジイとヒステリックババアなのだけど、その不器用さがいじらしくて可愛い。
感情に蓋をして生きるのも感情を抱えたまま生きるのも、どちらもしんどい。
歳を重ねる毎
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ジョー、満月の島へ行く(1990年製作の映画)

3.1

「自殺かするのが怖いことを選ぶなら、するのが怖いことを選ぶんだ」
余命宣告をされ、人生が有限であることを自覚し、初めて自らの生の尊さを知る。
失うものは何もないと強気になり、今だけに集中することで、世
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クレオパトラ(1934年製作の映画)

3.3

「離婚なさい。私と世界を征服するの」「エジプトには私が必要」といった冒頭からは、クレオパトラの決然とした強さと潔さを感じたのだが、惚れた男の前では一人の盲目な女、というお話。

クレオパトラ様、シーザ
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

2.6

パムグリアが最高にイカしているのは十分過ぎる程に分かる。
だが、タランティーノ作品で初めてつまらなく感じてしまった、、。

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(2007年製作の映画)

2.7

肩書きに胡座をかき、人々のことなど真剣に考えもせずに享楽的な暮らしをする。
それが多くの議員の実態かもしれない。
だが、真に平和を目指し始めた時、社会を好転させるだけの力を持っているのも彼らである。
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虚栄のかがり火(1990年製作の映画)

3.0

「悲劇を自分の利益のために利用する」人間しか出て来ない。
だが、それが人間というものである。
どんなに悲劇的状況に追い込まれ、傷付き打ちひしがれても、どこかで冷静に損得勘定をしている。
経済的または社
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ズーランダー(2001年製作の映画)

3.3

スーパーモデルやスーパースターがカメオ出演しているのに、ベンスティラーとオーウェンウィルソンが何故かスーパーモデルという設定。笑
ルックスじゃなくてタレント性や奇抜性や身体能力で競っているし。
この、
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聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)

2.5

過去と現在が交錯しながら、現の様な夢の様な場面が展開される。
全てが断片的な記憶の継ぎはぎであり、時系列も人間関係も整理されていないためになかなかに混乱させるし眠くさせる。。
思い出に浸るということは
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リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

3.2

インモラルな人物達、唐突な殺人。
自らの保身や欲求のためなら、いとも簡単に倫理を外れるのが人間。
悪気もなく殺人を重ねる猟奇的幼稚さが恐ろしいけれど、病みつきになる感覚もあったりする。
罪悪感もまるで
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旋風の中に馬を進めろ(1965年製作の映画)

3.0

西部劇といえば、腕利きのガンマンがどんぱちやる男の浪漫というイメージだけれど、これはリアルを描こうとしているのだろうなあと。
そこに劇的なドラマやヒロイズムはなく、当時の生活や暮らしに密着している。
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爆走!ヘルズ・エンジェルス(1967年製作の映画)

3.3

バイクで走るか喧嘩するか馬鹿騒ぎするかセックスするかのシーンがひたすらに続く、バイク仲間達の享楽的なその日暮らし。
それは若い時にのみ許された特権で、終わりが近いことを自覚しつつも、全力でそれに目を瞑
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シティ・オブ・エンジェル(1998年製作の映画)

3.3

死神=黒のトレンチコートと世界共通で決まっているらしいし、死が近い人間のみ彼らを目視出来るという設定からしても、守護天使というか死神では???

ニコラスケイジがストーカーっぽくて怖いし気持ち悪いんだ
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ビル・マーレイ・クリスマス(2015年製作の映画)

3.0

ビル・マーレイの歌の崩し方があくまで芝居の延長上にあって、自由で素敵過ぎる。下手でも沁みる、つまり素敵。
歌とはこんなにも自由であって良いのだなあ、うんうん。

パフォーマンスは普通にクオリティが高
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イカとクジラ(2005年製作の映画)

3.3

離婚夫婦ものは数多くあれど、夫婦と子供それぞれの視点から均等に描いているのは何気にレアかも。
親をどれだけ恨んで疎んでも、まだ保護下にある年齢の内はどうしたって親に振り回される。
親の負の感情を子供は
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大いなる陰謀(2007年製作の映画)

2.6

「君はもう大人だ。大人になる時に厄介なのは、その境目がはっきりせず決断を重ねてしまう。だが忘れるなトッド。もう君を支える者はなく、今下した決断に生涯責任を取らなければならない」
一つの事実に対して、
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モンスター上司(2011年製作の映画)

3.0

上司のハラスメントに不満を覚え、嫌気が差しながらも働き続けるのは、そこから脱却しようという気持ちや実行に移すまでの行動力さえ抱けないからで。
不幸で悲劇的な状況を受け入れ甘んじている方が辛くても楽だっ
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あるメイドの密かな欲望(2015年製作の映画)

2.8

小間使いらしからぬ自我の強さと負けん気で、自らの立場を易々と受け入れない反骨精神には憧れる。
ざまあみやがれとほくそ笑む場面が随所にあるが、レア・セドゥのその顔が好き過ぎる。
メイドとして働けば、主人
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ペーパーボーイ 真夏の引力(2012年製作の映画)

2.7

母親に捨てられた過去から、女性に対しての歪んだ感情がある童貞青年のジャック。
周囲の大人達との交わりの中で、絶望し諦念を抱えながらも、自分だけは違うのだと抗おうとする。
あからさまではなくとも、無意識
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とまどい(1995年製作の映画)

3.0

「人は愛を求めるが愛に出会うと抑えてしまう」
皆が恋心や下心や愛情を抱きながらも、明確に意思表示することを躊躇ってしまう。
それは、大人の節度ある距離の取り方とも言えるし、傷つきたくないがために踏み込
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恋は光(2022年製作の映画)

3.1

恋の定義を考えようと思い立つ、そしてそれを他者と共有しようと試みる、その営みは世界を深遠で広いものにする。くだらないと切り捨てたらそれ以上広がらないもんね。恋の定義をするのは良いけれど、他人からそれは>>続きを読む

スリーパーズ(1996年製作の映画)

3.3

少年院という閉鎖的空間で何が行われているかは外からだと分かり難く、故に非人道的な行為が不条理に為されていたりする。それが少年達の心に深い傷を負わせ、心を歪ませた大人を育ててしまう。本来は彼らを更生させ>>続きを読む

殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990年製作の映画)

3.1

浮気するとか若い女作るとか何人も女囲ってるとかが出来る男は、口が巧いか金があるかだよな(ジョーイの場合は前者)。
外で遊びまくってるのに奥さんも愛してるってなんやねん。どっちかにしろや。
なのに、夫が
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カンバセーションズ(2005年製作の映画)

3.8

元恋人同士が、別れているからこそ正直になってぽつぽつと本音を吐露する会話劇。会話劇の醍醐味である、ギリギリのところで保たれる均衡、探り合いの緊張感、他者の介入によって突如乱される調和といった要素が満載>>続きを読む

地球は女で回ってる(1997年製作の映画)

3.0

ウディアレンの脚本は、とにかくよく喋るというか思っていることを垂れ流しするので、リアリズムや繊細な機微はない。だが、その遠慮のなさが彼独特の毒あるユーモアを生む。
男はろくでもない・だらしないという前
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フーズ・ザット・ガール(1987年製作の映画)

1.5

ぎゃーぎゃーぴーぴー言ってばかりのニッキーの精神異常っぷりというかラリってる具合に興醒めする。
弁護士でありながら意外にもタフな面を見せるロードンはそれなりにイケてるけども。

より良いストーリーを練
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ロング・エンゲージメント(2004年製作の映画)

3.0

戦争の悲惨さが続く。言葉が出ない。
希望を持てない状況の中で、それでも婚約者の生存を信じたいと願う気持ちが彼女の希望となる。
ここまでのパワーとエネルギーが一体どこから湧いて来るのか。
愛と言ってしま
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

3.0

劇中劇の本編をずっと観たかった気がする。老いに対する反発、若さへの嫉妬みたいなものを描こうとしてのバックステージものなのだろうが、本編だけで十分浮き彫りに出来るのでは。

昨日と今日の本番は散々でも、
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ハリウッド式 恋のから騒ぎ(2008年製作の映画)

2.0

メグライアン老けたなあ(そのアヒル顔がどうにもヒアルロン酸打ったみたいに見える皮肉)。相変わらず可愛げがなく気の強いキャリアウーマン役。ストレートの髪型が似合ってない!

あのおっさん(チャーリー)な
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秘密への招待状(2019年製作の映画)

3.3

途上国で孤児院を経営するイザベル。ギリギリのところでなんとか命だけは生きながらえている人や生死の狭間にある人がわんさかいる中で(つまりは死が身近な環境で)生きるイザベルは、ニューヨークで豪奢な暮らしを>>続きを読む

ペリカン文書(1993年製作の映画)

3.5

ソバージュ時代のジュリアロバーツ大好き。
『エリンブロコビッチ』の様な社会派作品で、聡明な役がまた良いよね。

選挙だか何だか知らないけれど、再選のためになら殺人だって厭わない、平気で人命と政策とを天
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ヴェルサイユの宮廷庭師(2014年製作の映画)

2.5

ケイトウィンスレット程に「豊満」を体現する人はいない。
心に刺さる取っ掛かりが何一つなく、全てが流れて行った。